2023年4月24日、ホテルニューオータニで故・豊田章一郎氏のお別れ会が実施された。一般献花に伺った担当だが献花後には博物館の特別展のようなコーナーが設けられていた。センチュリーの展示がグッときました……。
文/写真:ベストカーWeb編集部
■トヨタと豊田家にとって重要なセンチュリーの意義
トヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎氏のお別れ会は非常に厳かな雰囲気だった。トヨタ自動車株式会社をスタートさせ、自動車会社からは初めての経団連会長に就任、セルシオなど世界に通用する車種をリリースしトヨタを世界規模の会社へと成長させた同氏。
弔問客の話を聞くと販売店の経営陣などトヨタ関係者のみならず、トヨタ車を乗り継ぐ消費者も献花に訪れていたのが印象的だった。担当が印象的だったのが献花会場の次に設けられた「お清め」会場。
飲み物の提供もあったが、会場のほとんどは豊田章一郎氏の半生、そして自社製品への愛情がパネルと実車で紹介されていた展示コーナーだった。
なかでもセンチュリーのコーナーは非常に感慨深いものがあったので紹介しよう。そもそもセンチュリーは1967年に登場したトヨタ創業者の豊田佐吉氏の生誕100周年を記念したモデル。つまりモデルそのもののスタートからトヨタ、そして豊田家にとって非常に思い入れのあるモデルともいえる。
そんなセンチュリーは1997年に2代目が登場する。実はその際に豊田章一郎氏は開発陣にアドバイスをし続けた。具体的なエピソードを紹介したい。
■「欧州車のほうがいいぞ」毎日の通勤でわかったカイゼン策
豊田章一郎氏は毎日の通勤でセンチュリーを使っていて直接開発陣にアドバイスをし続けていたという。
「ドアの開閉音もっとしっかりならないか、欧州車のほうがいいぞ」
「ふわふわで乗り心地はいいが、もっとカチッとならないか」
「伊勢湾岸で横風にあおられるとふらつく、なんとかならないか」
毎日使うからこそのアドバイスに加えて、先代のV12エンジンには自身の専門分野のエンジン燃焼の知識をもとに開発陣に質問をするなど、センチュリーへの開発への力の入れようはかなりのものだった。
子息にして現トヨタ自動車会長の豊田章男氏も、このような章一郎氏のコメントを重視して現行センチュリーの開発に携わった。センチュリー初のハイブリッドモデルへの切り替えで章一郎氏が心配していたという環境対応も果たし、安堵したという逸話も。
親子で守り抜いたセンチュリーの誇りはいまも国産車の頂点で輝き続けている。あくまでベストカーの予想ではあるが今後はセンチュリーSUVも控えていると予測されている。センチュリーと冠するモデルであれば、そこには並々ならぬこだわりとクオリティが意地されているのは間違いないだろう。
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