雑誌の記事やWEBの広告、テレビCMなどで見かけることがある「特別仕様車」。なんとなくお得で良さそうなイメージはあるものの、どうしてそんな仕様のクルマが存在するのかという理由や、購入後のメリット・デメリットについては、あまり深くは語られないもの。
今回は、そんな「特別仕様車」について探ってみた。
文/井澤利昭、写真/スバル、トヨタ、日産、フォルクスワーゲングループジャパン、マツダ
仕様は千差万別! 「特別仕様車」ってどんなクルマ?
「スペシャルエディション」などとも呼ばれる特別仕様車にはさまざまなものがあるが、一般的には、先進機能が備わるナビゲーションシステムやヘッドアップディスプレイ、各種安全装備など、通常はオプション設定となっていたり、一部の上位グレードのクルマにのみに採用されている魅力的なパーツやアクセサリー類などが標準で取り付けられている車両のことだ。
スポーティさを前面に押し出したものや高級感を売りにしたエレガントなものなど、特定のテーマやイメージを持たせたものが多く、それぞれにマッチする追加装備に加え、上質なシートの採用や通常のラインナップにはないボディカラー、アルミホイールなどを含めてワンパッケージとすることで、標準モデルにはない独自の世界観を演出している。
特別仕様車のテーマは時代や流行によって大きく変わるものの、その車種ならではの特徴や魅力をさらに引き出すものが与えられることがやはり多い。
もっともポピュラーなのが、その車種の誕生やメーカー設立から数えて節目となる年にリリースされるアニバーサリーモデルや、カーオブザイヤーなど何かしらの賞の受賞やレースでの勝利を祝う記念モデルだ。
その他にも特定のカラーをモチーフに内外装がコーディネートされたものや、女性や若者など特定の層をターゲットにしたものなどバラエティに富んでおり、いずれもそのクルマの購入を検討している人の心をくすぐるものとなっている。
最新モデルは案外少なめ? 特別仕様車のベースとなっているクルマとは
ひと口に特別仕様といってもさまざまなモデルが存在することは先ほども述べたが、その多くに共通するのが、新車として発売されてからある程度の年月が経ったモデルがベースとして選ばれている点だ。
たとえば、昨年末10月に発売されたトヨタ・RAV4「Adventure“OFFROAD package II”」の場合、ベースは2019年に発売されたAdventureグレード。
先日、フォルクスワーゲン日本正規輸入70周年を記念して発売された特別仕様車「プラチナム エディション」のベースモデルも国内販売開始からは約2年が経過しているなど、いずれも登場からある程度の時間が経っている、ある種“見慣れた”モデルだ。
“見慣れた”モデルがベースとして選ばれる理由についてはメーカーや車種ごとに事情は異なるものの、「販売促進のため」というのが大きなファクターのひとつである点は否めないであろう。
新車として発売された当初は販売が好調であった人気車種であっても、その売り上げは年月が経過するごとに落ちていくのが一般的で、お買い得感のある特別仕様車を投入することで、販売台数の回復や注目度をいま一度高めたいという狙いがあると思われる。
また、モデルが熟成していくことで理解が進んだ、そのクルマに求められている機能といった顧客のニーズにマッチした装備を加えることで、マイナーチェンジほどの手を入れずとも、そのクルマの魅力を高めることができるというメリットもあるようだ。
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