無人艦隊の登場も見えてきた!? クルマよりも歴史が古い航空機や船舶の自動操縦とは

■自律飛行ができる無人機

 飛行機ではオートパイロット技術はFMSまで進化したが、離陸はパイロットが行い緊急時にはいつでも操縦を代われるようにパイロットが待機しているので、これは自律飛行ではない。自律飛行はUAV(Unmanned Aircraft Vehicle:無人航空機)やドローンで使用されている技術である。

 自律飛行というのは機体に搭載されたコンピュータに予め入力されたプログラミング等により自動で飛行するということだ。障害物を回避したり、飛行コースを変更したりといった行動をドローン自体が判断してするわけではない。

 現在、アメリカを始めとする各国で開発を進めている自律戦闘型ドローンのようにAIが判断して飛行や攻撃を行う機体もあるが、実用化にはまだかなりの時間がかかると見られている。

 自律飛行の技術の発達にはオートパイロットも大きく貢献しており、飛行機においてもパイロットが操縦に関与しない自律飛行が最終目標といえよう。

 ちなみにドローンは無人航空機のことをいうので、UAVとドローンは基本的に同じものといえる。あえて分類する場合はUAVやドローンは無線による遠隔操縦で飛行するが、さらに自律飛行の機能を持っているものをドローンという。

■しのぎを削るマルチコプター型

 いずれにしても無人機は有人機(人が乗る航空機)に比べて安全性を考慮する必要がないので、発達が早く、性能の高さや生産および運用コストが重視される。

 ドローンは標的機などとして1950年代から軍で使用されているが、大きく発達したのは画像装置やコンピュータなどの電子装置や通信機材発達し小型化された1990年代後半からのこと。

進化のスピードが早いドローン
進化のスピードが早いドローン

 軍用のドローンといえばイラクやアフガニスタンで使用されたアメリカ軍のRQ-1/MQ-1リーパーやRQ-4グローバルホーク、昨今ではロシア・ウクライナ戦争でウクライナ軍が使用したTB-2などが有名だ。いずれの機体も翼を持った飛行機型で、大きさは様々だが比較的大きい機体だ。

 飛行機型は長時間滞空したり長距離を飛行するのに向いており、ペイロードも大きい。一方、機体の大きさによっても異なるが、大型になると運用するためにはある程度広い場所や人手がかかる。

 より小型な機体では3つ以上のローターを持つマルチコプター型が軍、民間ともに多用されている。垂直離着陸が行え、構造が単純、操縦も簡単で、運用するのに場所を選ばず大勢の人手を必要としない。こうした理由から今後も様々な分野で使用される可能性があり、今各国で開発にしのぎを削っている空飛ぶ自動車もマルチコプター型である。

■船のオートパイロットとは

 オートパイロットといえば、飛行機以外に、船舶(軍用・民間用)でも使用されている。船舶のオートパイロットは自動操舵装置のことで、舵操作の負荷削減、針路保持、航程の短縮および燃料の節約などを目的として開発されたものだ。

 基本的に船舶のオートパイロットは船の進む方位を制御する(ヘッディング・コントロール)。船舶が所定の針路から外れたときに、磁気コンパスやジャイロコンパスなどによりその角変位(コンパスの回転前後の角度位置の変化)と角速度(単位時間あたりの角変位)検出し、自動的にこれに対応する舵角を舵に与えて設定した針路に戻るように船舶の方位を変針させる。

 船舶のオートパイロットは飛行機のそれのように地図上の指定したポイント点(指定した座標のポイント点)を通過するような航法上の制御機能はないので、オートパイロットによって船首が針路の方向を向いていても、風や潮流の影響で想定していた航路から外れる(横滑りしながら進んでいく)ことがある。

 そのため船首の方位に加えて、船の航路を制御する(トラック・コントロール)の機能を持つオートパイロットもある。近年では電子海図装置やGPSのような測位システム、コンピュータなどと組み合わせることで、自動的に設定された航路上を航行できるようになっている。

 船舶におけるオートパイロットの長所は見張りに集中でき、視野が広がることだ。一方、短所は操船操作が遅れる、潮流に影響されやすい、外乱による変位が修正できない、などが上げられている。

 ちなみに船にオートパイロットが搭載されたのは1922年のことで、アメリカのスペリー社が開発したジャイロパイロット(商品名)を装備したムンソン汽船会社のムナーブ号が実用化第1号といわれている。

 今日、大型船ではオートパイロットは欠かせない装置になっており、小型船舶やセーリングボートでも多用されている(ちなみにセーリングボートでは風に対して船の向きを一定に保つウインドベーンも自動操舵装置の一種である)。

次ページは : ■待望の自動運行船。その登場は?

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

トヨタセリカ復活計画、始動!? 新型ホンダフリードの獲れたて新情報も盛りだくさん!【ベストカー6月10日号】

トヨタセリカ復活計画、始動!? 新型ホンダフリードの獲れたて新情報も盛りだくさん!【ベストカー6月10日号】

トヨタ自動車の壮大なるBIGネーム復活計画の第四弾は……なんとトヨタセリカ!? 新型ホンダフリードの注目情報や、レーシングドライバー岩佐歩夢選手の新旧ホンダスポーツカー試乗など、GW明けから全力投球な企画だらけです!