1990年代に現れたスポーツセダンの6代目チェイサーツアラーV。ヤマハがシリンダーヘッド開発にかかわった直6の2.5Lターボを積んだこのクルマは当時のクルマ好きから熱い視線を集めたが、新車当時に契約寸前までいったWeb編集部員が当時を語ってみたい。
文/ベストカーWeb編集部・渡邊龍生、写真/トヨタ
■「強い高級車」に乗りたかった!
忘れもしない、1996年にデビューしたのが100系の6代目チェイサーだ。マークII3兄弟のなかでも明確にスポーティな性格付けがされており、兄弟車のマークIIやクレスタよりも前後オーバーハングが詰められていた。
フロントマスクは当時のE36型BMW3シリーズにも似たヘッドライトが与えられており、リアスポイラーと相まってスマートながらまとまったエクステリアデザインが特徴的だった。
このモデルのひとつ前の世代、1992年に登場した90系マークII3兄弟の時代に初めてツアラー系グレードが登場したのだが、この世代で最も人気だったのはマークIIで次点がクレスタ。チェイサーはややおとなしいスタイルで3兄弟のなかで人気はさほどでもなかった記憶があるが、この100系になって一気にスポーティに生まれ変わった。
搭載するパワートレーンは「踏めば踏んだだけ加速する」感の強い直6、2.5LDOHCターボの1JZ-GTE(最高出力280ps/最大トルク38.5kgm)で、90系のツインターボから100系ではシングルターボに変更され、最大トルクが90系の37.0kgmから1.5kgmアップされた。
■FRパッケージ+豪華な装備は上級サルーンならでは
折しも当時のトヨタは「セダンイノベーション」を掲げ、セダンモデルのラインナップ拡充を実施していた時期。セルシオとクラウンマジェスタ、クラウンに次ぐ位置づけのマークII3兄弟は充分に高級な上級FRサルーンで、装備も豪華だったのも見逃せない。
フロントヘッドライトにはトヨタ車初となるディスチャージヘッドランプ(HID)が採用され、衝突安全ボディ「GOA」をこの代のマークII3兄弟から導入。さらに上級モデルのクラウンで採用されていたオートエアコンのルーバーが自動で左右に動くオートスイング機構まで上級グレードには備わっていた。
ツアラー系は外観のカッコよさもさることながら、室内の質感も高級感にあふれていた。スポーツシートは高級車のそれだったし、ダッシュボードやインパネに使われる素材のよさに加え、メーターには初代セルシオ譲りとなる自発光式のオプティトロンメーターまで奢られていた。
さらにツアラーVには5速MTが用意されていたのも走り好きから注目を集めたポイント。このMT、一説によるとトラック用のものを流用していたとの説もあるが一時期はこのMT車がツアラーV販売全体の3割を占めていたというのも特筆すべきトピックだろう。
コメント
コメントの使い方従兄が所有していて、よく運転させてもらいました。人気車だと思っていたのですが、110系が発売されなかったのがすごく不思議でした。
R34セダンを買っておけば😥的な感じですな。