■軽量化にアルミボディの採用(1990年初代NSX)
初代NSXは1990年に、ポルシェ911やフェラーリ328といったスポーツカーをターゲットに開発された。
軽量化を主な目的に、ボディを含めた多くの部品にアルミが使われた。特にボディはアルミ製とすることでスチールで作ると約350kgのところ約210㎏と約140kgの軽量化に成功。
クルマ全体ではスチール製に対し200kgも軽量化することができた。アルミボディは溶接や接着に掛かる手間など課題もあったが、そこは生産技術のブレイクスルーなどにより克服。
特にNSXのために作られた高根沢工場はアルミボディを作る際に消費する膨大な電力消費を補うために発電所を備えていたほどだった。
初代NSXで培ったアルミボディの技術は徹底的に燃費を追求した初代インサイト(1999年登場)にも生かされた。
アルミボディは錆びないこともあり、ホンダがユーザーのオーダーに応じて初代NSXを蘇らせるリフレッシュプランを展開する後押しにもなった。
そして今や珍しい技術ではなくなったが、2016年登場の現行NSXのボディもアルミで作られている。
■センタータンクレイアウトで小さいクルマを広く(2001年初代フィット)
初代フィットの開発目標は「広いキャビンとラゲッジスペースを持つコンパクトカー」。そこで置き場に困ったのが燃料タンクであった。
現代のクルマではたいていリアシート下に置かれる燃料タンクはエンジン車には必ず必要なもの。しかしコンパクトカーでも40リッター程度の容量は必要でスペースを食う邪魔なパーツでもある。
その燃料タンクを初代フィットでは空間的に余裕のあった前席下に移動した。広いキャビンが確保できたことは言わずもがなだ。
さらにリアシート下にスペースができたことでリアシートを畳んだ際の大きなラゲッジスペース、リアシート座面の跳ね上げも可能なシートアレンジも実現。
以来センタータンクレイアウトは初代N-BOX以降の軽乗用車にも採用され、ホンダの小型車の広さに大きく貢献している。
■トヨタとは違うハイブリッドに進化(2013年現行アコード)
ホンダは初代インサイトでトヨタに続きハイブリッドを実用化したが、IMAと呼ばれる小さなモーターでアシストするタイプ。
クルマによってはハイブリッドのメリットである燃費向上の効果が薄いなど、トヨタの2モーターに対し劣勢なのは否めなかった。
そんな状況を打破すべく2013年の現行アコードで登場した2リッターエンジンと組み合わされたのが2モーターシリーズハイブリッド。
技術としては昔からあり、熱効率に優れるエンジンを主に発電用として使いモーターでタイヤを駆動する。
電気自動車に限りなく近い静かかつスムースで加速も力強いというシステムである。
しかし2モーターシリーズハイブリッドはスピードが上がってくると効率≒燃費が悪化しがちという弱点もある。
そこでホンダは2モーターシリーズハイブリッドにエンジンでタイヤを直接駆動するためのクラッチを設け、一定以上のスピード域での燃費向上も実現。
しかしクラッチを使うためクラッチの断続の際のショックを抑えるなどの課題もあったのだが、このあたりはクラッチの断続の際の回転合わせを入念に行うなどして克服された。
ホンダにはフィットやフリード、ヴェゼルに1.5リッターエンジン+1モーターにDCTを組み合わせるハイブリッドもある。
しかし総合的には2モーターシリーズハイブリッドの方が上と判断したようで、クラリティPHEVや現行インサイトでは1.5リッターエンジンに2モーターシリーズハイブリッドを組み合わせた。
ホンダの実用車のハイブリッドはこちらに移行していきそうだ。
このように「技術で人を幸せにしたり、生活を豊かにする」というのがホンダらしさの1つであり、今後もそんな技術がホンダからドンドン登場することを大いに期待したい。
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