ここ数年、ラインナップが大幅に減少したホンダ。発奮材料になる可能性があったN-BOXのFMCは2023年8月の予定が今秋に延期された。今後さらに発売時期が遅れることも予想されている。ライバルに先を越され、後手に回る実情を販売サイドはどう見ているのか。元ホンダディーラー営業マンである筆者が、今のホンダを斬る。
文/木村俊之、写真/ホンダ、ベストカー編集部
■ホンダは日本市場を見かぎったのか? 営業マンが抱く不安
ホンダの販売現場には元気がないようにも見える。そもそもN-BOXのFMC延期の要因として挙げられるのはステップワゴン、ヴェゼル、ZR-Vなど先行して投入された主軸新型車の納期遅れを優先するためだという。
しかし、ここ数年のホンダを見ていると、日本市場の販売に力を入れているとは言いにくい状況だ。国内市場のラインナップは大幅に削減。対照的に中国やインドをはじめとするアジア市場や、北米・欧州市場には積極的に新型車を投入している。
日本市場は、すでに置いてけぼりを食らっている状態だ。中国で製造されるオデッセイが2023年11月頃に発売されそうだが、話題といえばその程度。すでに海外で発売されている車種を日本に導入しないという大方針が決まり、今後発売が予定されている新型車種も発売延期が濃厚である。
こうしたホンダの対応を見て「ホンダは国内市場に興味を持っていないのではないか」という見方も出てきた。筆者が取材を行ったなかで、現役営業マンは次のように語る。
「新型車種の発売が先送りになれば、乗換えを提案するタイミングを失い、ユーザー離れが心配です。ラインナップが少ない状況だからこそ、新型車種の登場は待ち遠しいものなのに……」と、その言葉からはメーカーの姿勢に不安を感じている様子が感じられた。
販売と納車がバランスよく組み立てられることで、ディーラーの経営が成り立っていく。今メーカー(ホンダ)がやろうとしていることは、納車を大きく増やし、販売を減らす行為のように見えるのだ。
競争の激しい国内市場で生き残っていくためには、より積極的かつ前向きな姿勢を示す必要があるだろう。ホンダは、もう一度国内市場を充分に見つめ直すべきである。
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