■そんなメガーヌオーナーがシビックタイプRに乗ったら?
ありがたいことに仕事柄、多くのクルマに試乗できるワケだが、先日、現行型シビックタイプRに乗る機会を得た。メガーヌR.S.の真っ向ライバルとなるクルマだ。
シビックタイプRは先代モデルでもその出来のよさに感心していたが、新型はさらに洗練されていた。結論から先に言うと、エンジン、ハンドリング、乗り心地、居住性、装備などすべてにおいてメガーヌR.S.を少しリードしている。
それでいて価格はシビックタイプRのほうが安いのだから、両車の比較記事をもし展開したら、かなりの確率で「シビックタイプRの勝利」となるだろう。
■うねった路面での追従性が素晴らしいシビックタイプR!
エンジンは回転フィールこそ同等だが、迫力もパワーもシビックタイプRが勝る。同じ4気筒ターボでもシビックは2L、メガーヌは1.8L。この200ccの差は確実にある。
ハンドリングに関してはプロドライバーの走りを参考にしよう。本誌ベストカーの企画で鈴木利男氏(日本を代表するレジェンドレーサー、元GT-R開発ドライバー)に乗ってもらう機会があり、私は助手席でその走りを体験したワケだが、まぁ、それは凄かった。
パワフルで速いのは当然としても、うねった路面でのタイヤの追従性が素晴らしいのだ。プロドライバーが(安全マージンを取りながら)相当なペースで走らせているからボディは激しく動いているのだが、タイヤはビタッと路面に張り付いている感覚。
助手席でもその安心感は伝わってくるし、運転操作も忙しくない。安定しているクルマは修正舵が少なく、ラクに走っているように見えるものなのだ。それでいて、コンフォートモードにすれば一般道での乗り心地も良好なのだから言うことなしだ。
そんなシビックタイプRと張り合えるのは、私が所有しているメガーヌR.S.の標準グレードではなく、より走りに振った「トロフィー」グレードなのだと思う。
それにしても、シビックタイプRはワングレードで実用走行からサーキットまで対応できるのだからたいしたもの。やはり2018年登場のメガーヌR.S.と2022年登場のシビックタイプRは4年間の差が如実に出ていると思う。「新しいだけのことはある」ということだ。
■シビックタイプRにしなかったことを後悔しているのか?
それなら私はメガーヌR.S.ではなく、シビックタイプRを買えばよかったと後悔しているかと言えば、それはない。まったくない。
求めているものが違うのだ。少しでも速く、性能の高いクルマが好きな人もいるだろうし、それを否定する気持ちもないが、私はそういうタイプではないということだ。
スポーツ性が高いのは必須条件だが、トンガったクルマは疲れるから、気合いが入り過ぎていないのがいい。そのうえで自己満足に浸れるカッコよさがあれば、言うことなし。そんな私にとっての今のベストはメガーヌR.S.なのだ。
■結局、最後は「欲しい」という直感で決めた!
とかなんとか理屈をつけようとするが、結局は「直感」である。メガーヌR.S.は登場直後に実車を見た瞬間に「あ、これ欲しい」と思った。
そして、シビックタイプRにその感覚はなかった。なぜそうなるのかを説明するのは不可能だし、その説明をされたところで聞いている途中で面倒になるのが関の山だろう。
純粋にクルマのトータル性能で優劣をつけるなら、軍配はシビックタイプRに上がる。しかし、それにあまり意味がないのも事実なんだな、これが。
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