■レクサス RXは米国市場を意識した「アメ車顔」
一方レクサスRXのフロントマスクは、これまた独特です。メイン市場のアメリカを意識した造形です。アメ車的な雰囲気も感じさせます。
空力的な視点で見ると、CX-60は結構積極的に取り組んでいます。フロントバンパー両端部がサイドに回り込む部分の距離やコーナーのRの取り方、フェンダー開口部のフィレットの形状など、しっかりと空気の流れを制御しています。
正面から見たバンパー両端の開口部はフェンダー内部に導風し、タイヤハウスの風を外に吸い出す効果を発揮しています。ホイール面はボディサイドとツライチにしていて、車体側面の風の流れはスムーズです。
フェンダー開口は、前後はこぶし1つ分以下に詰めています。これは頑張りました。ただSUVということもあり、サスストロークを取るため、上部はこぶし1つ分の隙間があります。アメリカ市場を意識したら、SUVであればこの程度の上下開口の余裕は必要です。
フェンダー開口部に関しては、レクサスRXも前後はしっかりと詰めています。これはCX-60と同じです。
RXのバンパー両サイドにスリット状の開口がありますが、ダミーですね。穴は開いていません。しかし、フェンダー内部には風の吹き出し口が開いています。これはフロントグリル部から取り入れた風を、ダクトを通して流しているのです。タイヤハウス内のエア吸出し効果はあまり期待できません。
■デザインの熟成度は対照的
新しいFRベースのプロポーションに挑戦しているCX-60のデザインは熟しきれてはいませんね。Aピラーの付け根。エンジンフード後端がつながる部分が尖っていて浮いて見えます。
これはクレーの造形検討時には綺麗に見えるのです。クレーではパーテーションがないし、反射が小さく陰影が付きにくいため、この程度の段差があるくらいで綺麗に見えてしまうのです。
しかもAピラー付け根のフロントウィンドウ側にはブラックのプラスチックが見えています。これは安っぽく見えるし、デザインの統一感を感じません。バラバラの線がAピラー付け根に集まってしまっています。
CX-60のドアパネル面には、プジョーに代表されるようなソリッド感と躍動感の演出が欲しい。ウエストラインから下を絞っているため、安定感が薄くなり車幅も狭く見えます。RXは複合した面で、躍動的な表情を作っています。
CX-60は絞ったドアパネルのラインから対象的にリアフェンダーの盛り上がりを演出しようという狙いはわかります。しかし、リアフェンダーアーチ部で凹面を作っているため、「後ろ足で踏ん張る」力強さを感じません。
あわせてリアコンビランプも細い形状のため、ラグジュアリー感も弱い。もっと大きな発光面としてボリューム感を作れば、大地を蹴り上げる力強さが表現できると思います。空力的にも車体後端の風の流れがスムーズになります。
このあたりの見せ方は、レクサスは上手い。リアクオーターにボリューム感があり、後輪がグッと踏ん張っている力強さを感じます。リアコンビランプの赤いレンズが大きく、存在感も感じさせます。
CX-60の床下空力のフラット処理はよく頑張っています。サスペンションアームにカバーが付けられていますし、マフラー本体の形状もフラットです。空力に対する意識は高い。
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