デザインはRXリードも空力はCX-60に軍配!? ミスターGT-Rの水野和敏がガチ判定

■空力制御ではCX-60に軍配

後ろ姿を見ると、レクサスRXのリアコンビランプは赤いレンズ面を大きくとってボリューム感を印象付けていることがわかる。CX-60はやや物足りない印象
後ろ姿を見ると、レクサスRXのリアコンビランプは赤いレンズ面を大きくとってボリューム感を印象付けていることがわかる。CX-60はやや物足りない印象

 対してRXの床下はサスアームはむき出しだし、マフラーのパイプやタイコも段差を作っています。床下の風の流れはあまり気にしていない設計です。

 エンジンは、RX350は直4の2.4Lターボ。これはNX350などにも搭載されるエンジンで、ポート噴射と筒内直噴を併用して使い分けるシステムでこれは効果的です。

 車体構造はトヨタのアッパーミドルFFプラットフォームの構造を踏襲しているので、完成度、熟成度は高いです。ストラット上部はダッシュパネル直付けで、補強パネルが左右にしっかりと渡されていてガッチリした構造。

 とはいえ、700万円を超えるレクサスの上級モデルなのだから、サスアッパーやエンジンマウント類は、プレス鋼板製ではなく、アルミダイキャスト製にして制振や剛性を向上させてほしい。他車と比較しコストダウンが見て取れます。

 エンジンルームを見ると、ターボの熱が厳しいのでしょう。ダッシュパネル側に遮熱板が設置されています。これは、エンジンルーム内の風の「抜き」がコントロールされていないためです。

 上手に上からフレッシュエアを流してアンダーカバーから吸い出す風の流れを作ってやれば、効果的にクーリングができるのです。エンジンルーム内で風が対流してしまっているということです。そしてこの風の対流はリフトになってしまいます。

■今後の欧州規制も視野に入れたCX-60のエンジン

 続いてCX-60のエンジンルームを見ましょう。

 大きなディーゼルキャタライザーですね。今後さらに厳しくなる欧州規制にも対応させるためです。これがエンジン横にドンと置かれるため、エンジン縦置きで、多気筒化しようとすればV型ではなく、幅を狭くできる直列が必須だったということです。バッテリーはダッシュパネル側に置かれています。

 エアクリーナー容量がちょっと小さい。あと1Lは容量を増やしたい。

 エンジンの搭載位置を見ると、サスアッパーの位置がちょうど直列6気筒の第2気筒目手前あたり。エンジンの大半は前輪アクスルより後ろに収まるフロントミドシップ配置。

■我が道を行くCX-60のサスジオメトリー

フル転舵した際のタイヤ接地面の傾きの差を見ていただきたい。右のCX-60に対し、左のレクサスRXはキャンバ角が大きい
フル転舵した際のタイヤ接地面の傾きの差を見ていただきたい。右のCX-60に対し、左のレクサスRXはキャンバ角が大きい

 サスジオメトリーは最近の欧州車で主流のハイキャスターではありません。転舵をしてもネガキャンがほとんどつきません。フロントがこのサスジオならば、リアサスを相対的に多く動かし、前輪の動きは抑えて車両前半部のロール量を減らし、タイヤの接地に必要なキャンバー角度を確保するのが今のセオリー。

 しかし、CX-60はこれとは逆に、以前からのサスペンションの前後バランスセットで、リアサスの動きをガッチリ抑えて、フロントをより多く動かしている。そのためフロントの車体のロール量(傾き)が多くなり、ネガティブキャンバー変化量が食われて不足しています。

 その後の走行結果では、緩い下りのコーナリングでは、ネガティブキャンバーの不足からフロントタイヤは外側に偏った接地になっていました。中心より内側のグリップ性能の高い部分が上手く使えていません。

 もし今のセットアップのように、フロントの動きをメインに多くするのであれば、フロントをハイキャスター化して転舵時のネガティブキャンバーの変化量を増加させて、タイヤの接地面を安定化させる必要があります。

 フロントマルチリンク方式が活かし切れていません。セットアップ方法と、ジオメトリー変化量の関係が少し曖昧に感じます。

 タイヤ切れ角は大きく、回転半径も小さくできています。FRプラットフォームのメリットです。FFプラットフォームのRXは切れ角が少ない。レクサスRXは最大転舵でCX-60よりも大きなキャンバー角の変化をつけるサスジオです。

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