「eキャンター」「エルフEV」など国内で発売が相次ぐ小型EVトラックは、欧米をはじめ世界各地でも発売が予定(一部は発売済み)されている。キャブオーバー小型トラックというクルマは、日本メーカーが強みをもっているジャンルだが、海外ではどのようなライバルが待ち受けているのだろうか?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/フルロード編集部、IVECO
カタチは違えど強力な欧州のライバル
昨年9月に日本で発表された三菱ふそうトラック・バスの「eキャンター」は、同じ月にドイツで開催された世界最大の商用車ショー「IAAトランスポーテーション2022」で欧州デビューを果たし、今年からポルトガルで現地生産が始まっている。
そのeキャンターにとって、最大のライバルとなるのが、欧州商用車メーカービッグ5のひとつ、伊・イヴェコの小型EVトラック「eデイリー」だ。
eデイリーのベースである「デイリー」は、車両総重量3.5トン~7.2トンクラスのセミキャブ商用車で、スタイリングこそキャブオーバー型トラックとは異なるものの、頑丈なセパレート式のラダーフレーム・シャシーと豊富な車型バリエーションをもち、さまざまな用途で使われるなど、まさに日本の小型トラックに匹敵する活躍ぶりである。しかも、日本車以外に競合車が存在しないため、圧倒的なシェアを誇ってきた。
実は、eデイリーもIAAトランスポーテーション2022で初お披露目を飾ったクルマで、日欧の商用車メーカーが同時に、これからの小型EVトラックの方向性を示すことにもなった。
日本車と共通点の多いイヴェコのアプローチ
もっともeデイリーが示したEVコンセプトは、eキャンターや(いずれ欧州にも導入されるだろう)いすゞ「エルフEV」と、多くの点で共通するものだ。
その共通点とは、「ディーゼル車とのシャシー共通化」「高電圧バッテリー搭載数のバリエーション展開」「架装物を駆動するためのePTO(電気式動力取出装置)の設定」「EV専用コネクティッド」「既存トラックユーザーに対するEV導入ソリューションの展開」──の5点で、3社とも「働くクルマの電動化」のために導き出した答が、ほとんど一致しているのである。