軽なのに…? 軽だからこそ…? 30万円超の「高額ナビ」は本当に必要か

メーカーとしては、あらゆる選択肢を用意せざるを得ない

 スマホさえあれば、道案内に関しては高額なカーナビと利便性は変わらない(むしろスマホのほうが最新情報を入手しやすい)ということについて、自動車メーカーはどう考えているのか(スマホのナビアプリ+ディスプレイで十分なのではないか)。

 先日参加させていただいた、三菱デリカミニの取材会で、三菱の車両企画担当者に訪ねたところ(ちなみにデリカミニには、ディーラーオプションで9インチナビ(約26万円)が用意されており、純正ディスプレイオーディオは12万円、CDチューナー3.5万円で用意されている)、メーカーオプションやディーラーオプションのカーナビは、ナビ以外の機能も盛り込まれているため、どうしても高額となってしまうことは承知しており、ケータイとディスプレイ方式にしてコストを抑えたい、という意見は社内にもあるという。

 ただ、スマホをもっていない(もしくはうまく使いこなせない)ユーザーも少ないながらにいることや、メーカー純正という安心感から、たとえ高額でもよいから純正ナビが欲しい、という人もいるなど、純正ナビの需要は低くないという。また、カーナビは不要と考えるユーザーも多いことから、(スマホ利用を想定した)ディスプレイの標準搭載もできないそう。

 メーカーとしては、事情の異なるお客様に合わせるよう、想定される設定はすべて用意せねばならないというのが現状とのこと。これらの状況はどの自動車メーカーも同じであろう。

デリカミニのオリジナル9型ナビゲーション(25万9050円)。ETC2.0とドライブレコーダーのセットになると、36万9820円にも(価格はすべて2023年7月初旬時点)
デリカミニのオリジナル9型ナビゲーション(25万9050円)。ETC2.0とドライブレコーダーのセットになると、36万9820円にも(価格はすべて2023年7月初旬時点)

純正ナビには「道案内」以外にも利点がある

 このように方策を一つにしぼらず、選択肢を用意してくれていることには、ユーザーにとってうれしいこと。また、たしかに「道案内」だけであればスマホで十分ではあるのだが、スマホや外付けのナビでは、多機能となったインフォテイメント機能を使うことができないし、運転席からタッチしやすく設計されている使い勝手の良さも味わうことができない。また、純正ナビは保証期間も長い(3年)など、クルマと一体になっている純正ナビだからこその良いところもある。割高な価格がネックではあるのだが、実際、新車購入する人の多くが、純正ナビを購入しているといい、それだけの価値を感じている人は多いのだろう。

 ただ、30万円とか40万円、もしくはそれ以上となる、高額のナビを含めたパッケージ販売には、無理があるように思う。筆者も1年前に購入したノートオーラで、プロパイロットが欲しかっただけなのに、およそ42万円のナビセットパッケージ(カーナビ、プロパイロット(ナビリンク付)、BOSEスピーカー(ヘッドレストスピーカー付)、ETC2.0、ステアリングスイッチ等)をつけざるを得なかった。内容を考えたらお買い得ではあるのだが、正直不要な装備もある。できればこの点についても、ユーザーが選択できるようにしてほしい。

クルマに乗り込んで、スマホを取り出して接続することもなく走り出せるのは便利。走行中に振動で落ちてしまう心配もなく、ドライバーが運転中により見やすくなる配慮もある(PHOTO:Adobe Stock_show999)
クルマに乗り込んで、スマホを取り出して接続することもなく走り出せるのは便利。走行中に振動で落ちてしまう心配もなく、ドライバーが運転中により見やすくなる配慮もある(PHOTO:Adobe Stock_show999)
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