高速道路のSA/PAや大型商業施設の駐車場に用意されている「障がい者駐車スペース」。近年、この不正利用が大きな問題となっているが、多くが私有地内に設置されているため警察の取り締まりが及ばない状態となっている。そこで国土交通省を取材し、不正利用に対する今後の対策を伺ってみた。
※本稿は2023年5月のものです
文/加藤久美子、写真/ベストカー編集部、Adobe Stock
初出:『ベストカー』2023年6月10日号
■国交省に聞く不正利用対策
前述のとおり、障がい者用スペースの不正駐車問題については大きな問題となっているわけだが、なぜ公的な罰則規定を設けないのか? 疑問に思っている読者も多いだろう。
国土交通省は2023年3月31日に、「車椅子使用者用駐車施設等の適正利用に関するガイドライン」というものを作成・公表している。しかし、このなかでも罰則の導入については検討段階であるとしている。
これについて、作成を主導した国土交通省総合政策局バリアフリー政策課に取材したところ、このガイドラインを作るにあたり、車いす利用の障がい者、車いす以外の障害を持つ方、駐車場の団体や公共団体などと議論を重ねたという。しかし、すぐには罰則規定を設けるのは難しいという判断に至ったそうだ。
■取締りの明確化はどのように進めるのか?
問題となるのが、どういった取り締まり体制で行うのか、対象をどのように明確化するか、といった部分だという。
この対象の明確化という点について国土交通省が活用を考えているのが、現在41府県2市で導入が進んでいるパーキングパーミット制度。
パーキングパーミット制度とは、各地方公共団体において、公共施設や商業施設などのさまざまな施設に設置されている駐車施設の利用対象者に利用証を交付する取り組みだ。このパーキングパーミット制度の普及が進んでいる府県では、以前と比べて不正利用がだいぶ減ったとする報告が上がっているという。
海外では罰則を導入している国もあるが、トラブルも多く、不正利用の抑止にどの程度効果をもたらしているのか明確ではないのだそうだ。
国交省としては、利用証の交付制度がまだ普及していない地方公共団体があり、中途半端な段階で罰則を導入しても対象の線引きがあいまいになってしまうため、利用証が浸透した段階で、利用証がないのに停まっているクルマは不適正利用であるとみなし、取り締まるということを検討案のひとつとしているという。
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