■R32タイプMよりもS14ターボのほうがパワーもトルクも上って……
このS14デビュー時に担当はR32スカイライン2ドアクーペGTS-tタイプM後期型に乗っていたのだが、R32タイプMの2L直6DOHCターボのRB20DETが最高出力215ps/最大トルク27.5kgmだったのに対し、直4ターボのS14シルビアK´sのほうがそれを上回っていたことに対し、密かに心中穏やかではなかった。
R32タイプMより、なんで車格が下のS14シルビアターボのほうが戦闘力は上なのよ! って本気で思っていたのだ。それを気に入らなかったこともあり、R32タイプMで当時の日産ディーラーにS14シルビアの見積もりを取りに行っていたんだな、これが。
理論的には2Lの排気量だと、6気筒よりも4気筒のほうがトルク面で有利なのは頭のなかでは理解していたのだが、それを釈然としなかったのはよく覚えている。だってスカイラインのほうが車格は上なんだもん。とはいえ、「S14に乗り替えるのもありか」と思いながらディーラーへ向かった。
■エアロシリーズはカッコよかったのよ、マジで
で、見積もりを出してもらったのは1995年当時のS14シルビアエアロシリーズ。デビュー当時のフロントグリルにイタリック体ローマ字で「silvia」の文字が入っていたのと全体的にボテッとしてしまったスタイリングに失望していたのだが、このエアロシリーズは違ったのだ。
エアロフォルムバンパーやナヴァーン製左右分割型リアスポイラーなどを装着したS14シルビアエアロシリーズは標準モデルをはるかに上回るスポーティさを備えており、「む、これならR32タイプMから乗り替えてもいいかも?」と思わされた。
試乗時は確か、K´sに乗った記憶があったのだが、当時日産がR33タイプMに採用していた大排気量NAのようなフィーリングを狙った「リニアチャージコンセプト」のせいか、このSR20ターボもややおとなしい印象だった。
当時の記憶を思い出しながら書いているのだが、結果的にはR32タイプMからS14シルビアへの買い換えは成立しなかった。何となく、「ステアリングにエアバッグが入っていて重い印象の4本スポークステアリングがちょっと……」とか言って、最終的に断ったような気はするのだが。
■いいクルマだったとは思うんだけど
結果的に筆者が商談に行った翌1996年、S14シルビアはビッグマイチェンを受け、吊り目のフロントヘッドライトと大型リアスポイラーを備えた後期型にスイッチされたのだが、今思えばS14前期型のおとなしいなかにも上品な雰囲気をまとったエアロシリーズは買ってもよかったかなと思わせる。
S14はアルミホイールもS13までの4穴から5穴に変更され、全体的な質感も向上。なのに、当時のクルマ好きからの評価はS13終了後も1999年1月まで継続販売されたS13姉妹車の180SXのほうが上だったというのも皮肉な気がする。
じゃあ、なぜお前はあの時買わなかったのかって? う~ん、すみません……R32タイプMから買い換えるだけの魅力を結果的には見い出せなかったのかも。でも、確かにいいクルマだったんですよー。知らんけど(笑)。
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コメント
コメントの使い方この当時は排気量が2000cc以下なのに幅のせいで3ナンバーは「なんちゃって3ナンバー」とか言ってバカにしてた気がする。今じゃ当たり前だが。デザインは個人的好みだが、14シルビアの前期のデザインはガッカリした記憶がある。後期は今見てもかっこいいと思うが、そのころにはスペシャリティクーペそのものに需要がなくなっていった時代。よくS15まで作って売ったと思う。またシルビアには復活してほしいですね。