2023年4月、お別れしたと思っていたホンダ「オデッセイ」が、2023年冬に復活する、と報じられた。オデッセイがいない、いまのホンダラインアップにおいてもっとも高級なモデルは、シビックもしくはステップワゴン。どちらも装備によっては高額にはなるのだが、「フラグシップ」とか「高級車」というには無理があり、オデッセイの復活で、ホンダの国内高級車市場が死守されるかたちとなる。
ただ、そのオデッセイに関しても、格上げされたとはいえ、ホンダの高級車としていまいち、と感じている人は少なくないのではないだろうか。ホンダのフラグシップミニバンといえば、かつてあった「エリシオン」だが、ホンダはオデッセイを格上げし、エリシオンを廃止する道を選んでおり、また2021年には長くホンダのフラグシップを守ってきた「レジェンド」も廃止している。ホンダは日本の高級車市場を諦めてしまったのだろうか。
文:吉川賢一
写真:HONDA
美しいラグジュアリークーペとして一世風靡したレジェンド
ホンダのフラグシップといえば、冒頭でも挙げたエリシオンのほか、スポーツカーでいえばNSXなどが挙げられるが、ホンダの高級車を語るうえで外せないのはやはり「レジェンド」だ。
初代レジェンドが登場したのは1985年のこと。バブル経済直前に誕生した初代レジェンドは、ホンダのフラッグシップとしてつくられたモデルで、ホンダ車初の3ナンバーサイズを採用し、新開発の軽量かつコンパクトなV6エンジンを横置きしたFFラージセダンだった。
1987年には流麗なデザインの2ドアハードトップを追加。低く美しいラグジュアリークーペとして一世風靡した。国産車で初めて、SRSエアバッグシステムを採用したのは、このレジェンドだ。この初代モデルは、北米向けブランド「アキュラ」急成長の立役者にもなった。
1990年登場には2代目レジェンドが登場。初代と同様、4ドアセダンと2ドアクーペを設定し、ラグジュアリーな内外装デザインと、日本車初の助手席エアバッグ採用などで、これまたヒット作となった。その後は、1996年に3代目、2004年に4代目、そして2015年に最後の5代目レジェンドが登場している。
5代目は、世界初となる自動運転「レベル3」(渋滞時50km/hまでアイズオフ可)を可能とするトラフィックジャムパイロットを含むホンダセンシングエリート搭載車として100台限定でリリースされ、歴史に名を刻んだ一台となったが、歴代どのレジェンドも、その時代ごとに画期的(エポックメイキング)な安全技術や、最先端の技術を採用し、「レジェンド」としての役割が継承されていた。
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