警視庁に在籍した33年間中、実に22年間もの日々を白バイに人生を捧げた元警察官の洋吾(ようご)氏。取り締まり件数において3年連続で警視庁トップに輝き、警視総監じきじきの表彰も受けた伝説の白バイ隊員だ。洋吾氏の警察時代の悲喜こもごも、厳しくも「とほほ」な日常を綴った著書『白バイ隊員 交通取り締まり とほほ日記』も上梓(小社刊)。
そんな氏のエピソードの数々から、今回は日々取り締まり明け暮れる白バイ隊員たちの「晴れの舞台」、VIP先導についてのお話を紹介してもらった!
文/洋吾、写真/洋吾、Adobestock(メイン写真=sunasuna3rd@Adobestock)、ベストカー編集部
■視線が快感!? VIPの白バイ先導
日々、交通違反の取り締まりに明け暮れている交通機動隊員も、たまには取り締まり地獄を離れて華やかな業務に就くことがある。
そう、白バイ先導だ。マラソン大会や駅伝などで注目を集めるあの役だ。また皇室や政府要人、さらには訪日した外国要人の車列の先導を行うこともある。
あのカッコいい白バイ先導、本来はテロリストなどから身を挺してVIPを守る重要な役目なので、最悪、命を落とす可能性もあるわけだが……、それでも選ばれれば嬉しい花形的な業務なのだ。
交機(交通機動隊)隊員の場合、天皇陛下の車列など皇室関連の場合は警衛課へ、皇室以外の要人車列の場合は警護課へと派遣される。
警衛課への派遣の場合は、警衛課に専属の白バイ乗務員がある程度揃っているので、それら専属の白バイに交ぜてもらうような形となる。そんな時は、一時だけなんちゃって警衛課白バイ隊員となる。
警護課への派遣の場合は、警護課には専属の白バイ乗務員が存在していないため、車列先導の白バイは全車交機の白バイ乗務員が行う。
一時、警備に精通しているマルキのMAPを警護課の専属白バイにしようという話も出ていたようだが、「ど素人の若造白バイ乗りたちに、車列先導なんて10年早い!」と古参白バイ乗りたちがブーイングの声を上げたため、即、却下されたとのこと。
派遣される隊員は、ベテランである班長クラスの隊員で、あらかじめ各交機隊内で指定されていた。だいたい1~2年間の任期で、任期後は順番に後輩班長に引き継がれていた。早い話、先輩順ということだ。
ただし、全国ネットでテレビ中継されるマラソンや駅伝の先導員となると厳選される。アップで映されたり、名前も紹介されたりで、注目を集めるため、選ばれるのはだいたい全国白バイ大会に出場した代表選手。警視庁代表で頑張ったご褒美なのだ。
車列の先導といっても、先頭ばかりが仕事ではない。大物クラスのVIPともなれば、ケツ持ちである後押えや、VIP車両の左右を守る側衛の任務に就くこともある。
コメント
コメントの使い方