マツダが楽しそうなクルマをどんどん出してきている。人気のSUVカテゴリーではCX-30が多くのクルマ好きの関心を惹いたはずだ。
そんなマツダの日本市場として最大の関心事になっているのが「マツダ3」の存在だろう。
2019年4月13日発表、発売5月というのが現状では濃厚なスケジュールだがこのマツダ3で気になることがある。
かつてのアクセラ、もっとさかのぼればファミリアを祖先に持つマツダ3。立派に大きくなった車格、そして数字名の車名。
どんどん大きく立派になる、マツダの「出世魚」的な販売戦略は成功するのだろうか? 歴史と共に先読みします。
文:片岡英明/写真:マツダ
■ファミリアが築きあげてきたもの、そしてアテンザへ
これから1年後の2020年、マツダは創業から100周年の節目を迎える。
20世紀も21世紀も変わらないのは、走りの愉しさの追求と未知への挑戦だ。
だからロータリーエンジンの実用化に挑んだし、持続可能(サスティナブル)な未来の実現に向けて「SKYACTIV」テクノロジーにも取り組んだのである。
乗りたくなる歓びを、ずっと未来の社会にまで提供したいと考えているのがマツダだ。
すべての人に、走る歓びと優れた環境・安全性能を届けるためにクルマの基本となる技術のすべてをゼロから見直し、常識を覆す技術革新によって世界一を目指した。
第3世代のアクセラと言える「マツダ3」は人馬一体を実現するために、軽量かつ高剛性のプラットフォームを開発し、パワートレインも一新している。
理想の燃焼を追求したスカイアクティブXも加わる予定だ。また、命を与える魂動(こどう)デザインも、次のステップへと入っていく。
マツダの世界戦略車である「マツダ3」のルーツを辿っていくとアクセラになる。
が、その先祖は長年にわたってマツダの屋台骨を支えてきた「ファミリア」だ。
軽乗用車のマツダR360クーペとキャロルによって4輪の乗用車市場に足場を築いたマツダは、1963年秋に初めての小型車を発表している。
これがファミリアで、第1弾は商用車のファミリア800ライトバンだった。
その1年後に満を持して2ドアセダンを投入する。エンジンはキャロル600に積んでいた直列4気筒OHVをスケールアップした782ccのSA型だ。
小型車市場で足場を固めた初代ファミリアは1Lエンジンを積むファミリア1000を加え、67年の暮れには第2世代にバトンタッチした。
この2代目ではレシプロエンジンに加え、ロータリーエンジン搭載車も送り出している。
そして1980年6月に登場した5代目は、駆動方式を後輪駆動のFRから時代が要求する前輪駆動のFFに変え、ボディタイプもカジュアル感覚の3ドアハッチバックを主役の座に据えた。
電動サンルーフを装備した3ドアXGは若者を中心に大ヒット。わずか18カ月で50万台の生産を達成するのである。
また、ヨーロッパを中心に海外でも好調な販売を記録した。ちなみに海外ではマツダ323を名乗っている。
これに続く6代目はDOHCターボやフルタイム4WDを設定し、走りのよさをアピールした。
が、90年代になるとハッチバック離れが進み、神通力を失っている。
マツダもバブル期の積極策が裏目に出て経営が悪化したから7代目から迷走。フォードの意向が強まったこともあり、マツダは駄作を連発した。
21世紀になった2003年秋、ファミリアは第一線を退き、名前を途絶えさせている。
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