「自分は大丈夫」はNGなのに…TPMS(タイヤ空気圧監視システム)がイマイチ流行らない理由

「自分は大丈夫」はNGなのに…TPMS(タイヤ空気圧監視システム)がイマイチ流行らない理由

 グローバルでは義務化されている、クルマのTPMS(Tire Pressure Monitoring System、タイヤ空気圧監視システム)ですが、日本では義務化されておらず、ごく一部のクルマに搭載されているのみです。

 2022年度のJAFロードサービス出動件数(全国合計)を見ると、「タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足」を理由とした出動は425,332件。全構成要件の中で19.37%を占めており、トップ(ワースト)2となっています(1位は「バッテリー上がりで890,203件/40.55%)。実に1日に1165台の車両が、日本の道路のどこかでパンク/バーストをおこしてJAFに助けを呼んでいる計算になります(自宅やスタンドで発見して自力で対処した件数を含めると、発生回数はもっと多いでしょう)。

 日本の道は世界的にみても大変整備されているほうですが、それでもそこらじゅうでパンク/バーストはおこりまくっています。それなのに、なぜ日本では、TPMSが義務化されないのでしょうか。

文:吉川賢一
写真:TOYOTA、NISSAN、LEXUS、国土交通省

日本では、TPMSの検査要件だけが決められている段階

 「TPMS」とは、タイヤの空気圧を常時モニターして、空気圧が規定以下になると警告してくれるシステムのこと。冒頭で触れたように、グローバルでは義務化が進んでおり、米国では2007年から、欧州でも2012年から義務化されており、乗用車のみならず、トラックやバス、商用車へも順次適用されています。

 TPMSが義務化された理由としては、安全のためという側面と環境保全のためという側面があります。適正な空気圧を保つことは、燃費低減につながりますし、空気圧不足で起こるバーストを防ぐことにも繋がります。そのため、日本で販売されているクルマでも、輸入車にはTPMSが標準装備されていますが、国産車での標準装備は、日産ではスカイラインやアリア、GT-R、トヨタではbZ4X、センチュリー、ランドクルーザー(オプション)、レクサス全車など、高額車両に限られています。

 装着義務化はされていませんので、なくても問題はないのですが、これらのモデルの多くはサイドウォールが潰れにくいランフラットタイヤを装着しているため、パンクが判断しにくいという理由でTPMSが装着されています。

 2021年に国連で採択された「タイヤ空気圧監視装置に係る基準(UN-R141 )」についての国土交通省の見解は、「タイヤ空気圧監視装置を備える場合に適合しなければならない要件を定める」に留めています(令和3年6月報告書)。もしもTPMSを装着している場合にはこの検査要件を満たしてね、という言い方です。

タイヤ空気圧監視装置の要件としては、タイヤの低空気圧の検出、装置の異常の検出、警報の表示等が規定されている(画像は国土交通省の資料より)
タイヤ空気圧監視装置の要件としては、タイヤの低空気圧の検出、装置の異常の検出、警報の表示等が規定されている(画像は国土交通省の資料より)

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