「自分は大丈夫」はNGなのに…TPMS(タイヤ空気圧監視システム)がイマイチ流行らない理由

義務化されない最大の理由は、コストアップか

 ではなぜ日本では義務化されないのか。理由は定かではないですが、筆者は、やはり「コストアップ」が一番の懸念事項だと考えています。全てのクルマでTPMSが義務化となれば、TPMSを開発販売する会社にとっては追い風となりますが、自動車メーカーとしては、コストアップは避けられません。ユーザーとしても、シートベルト義務化から始まり、ABS、エアバッグ、衝突被害軽減ブレーキ、誤発進抑制機能など、安全性確保のための法規改定には、車両価格の上昇が伴っており、そこへまたTPMSも義務化となれば、負担は増えるばかりです。

 また、装着を義務化したからといって、タイヤのトラブル減少に直結するのかもあやしいところです。ガソリンスタンドや、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアでは、「月に一度は空気圧チェックを」という啓蒙ポスターをよく見かけますが、JAFによると、2022年のロードサービス出動理由においてタイヤのパンク(バースト、空気圧不足)は、一般道では第2位、高速道路では第1位とのこと。もちろん、タイヤのパンクやバーストの原因には、道に落ちた釘や鋭い小石、落ちていた木の破片などを踏んでしまうことでパンクするということもありますが、やはり空気圧不足など、タイヤの点検不足でトラブルに繋がっているケースが多いのではないでしょうか。

 そうしたタイヤの空気圧を甘くみているドライバーは、たとえTPMSの異常警告灯が点灯しても、気にすることもなく走り続ける、ということも考えられます。また、何でもかんでも制御に任せればよい、というのも考えものですし、タイヤ空気圧チェックを含む日常車両点検は「ドライバーの義務」としてきた道路交通法のまま続けるほうが、総じて「エコノミーかつエコロジー(安くかつ環境にも良い)」という考え方もできます。国土交通省がそう考えているのかはわかりませんが、そのように解釈することはできます。

タイヤ空気圧チェックを含む日常車両点検はドライバーの義務であるはずだが、空気圧不足が原因と思われるタイヤに関するトラブルは多いのが現状(PHOTO:Adobe Stock_琢也 栂)
タイヤ空気圧チェックを含む日常車両点検はドライバーの義務であるはずだが、空気圧不足が原因と思われるタイヤに関するトラブルは多いのが現状(PHOTO:Adobe Stock_琢也 栂)

TPMS義務化は、日本でも必要では!??

 「ドライバーは怠惰な生き物だから制御でサポートする」として広がった国際基準と、「ドライバーの義務としているのだから、ドライバーに任せる」としている日本。タイヤに無頓着なのはごく一部のドライバーと信じたいですが、そうしたドライバーが一人でもいれば、重大交通事故は起こりえます。やはり安全な交通と環境保全のためには、日本でもTPMS義務化は必要なのではないでしょうか。

安全な交通と環境保全のためには、日本でもTPMS義務化は必要なのでは!?(PHOTO:Adobe Stock_beeboys)
安全な交通と環境保全のためには、日本でもTPMS義務化は必要なのでは!?(PHOTO:Adobe Stock_beeboys)
【画像ギャラリー】タイヤ空気圧不足を知らせてくれる「TPMS」が装着されている国産車(30枚)画像ギャラリー

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