■Dレンジでオフも可能だが……原則P→電源オフが鉄則
まずDレンジに入れた状態で電源(システム)をオフにした場合はどうなるのだろうか。HEVなどをすでに乗っている人には「釈迦に説法」だが、基本的には「自動でP(パーキング)レンジ」に入るようになっている。
これは当然のことで、もしDレンジの状態で電源オフした際、クルマが勝手に走り出したら事故が起きる可能性があるからだ。
例えば三菱アウトランダーPHEVなどは取扱説明書に「シフトポジションをPに切り替えずにパワースイッチの電源モードをOFFにすると、自動的にシフトポジションがPに切り替わる場合があります(オートP機能)」と書かれている。
なーんだ、じゃあ安心じゃん! と思うのは早計だ。アウトランダーPHEVの取説にはこうも書かれている。
「パワースイッチの電源モードをOFFにするときは、電動パーキングブレーキを確実にかけ、シフトポジションがPであることを確認する」の後に「車両が動き出し、思わず事故につながるおそれがあります」と……。
誤解の無いように言っておくが、アウトランダーPHEVに関しては前述したオートP(パーキング)が付いているので問題は無い。
ただ、実際エンジンルーム内の温度が高ければ冷却のために一定時間ファンが回る。これはパワースイッチをOFFにしても作動し続ける。つまりシステム自体は完全オフになるわけではない。これは他の車両でも同じだ。
また筆者のプリウスPHV(ZVW52型)を使い、広い私有地で実際試してみたのだが、オートPは当然作動する。
だが、一方でDレンジに入れた状態で運転席側のドアを開けると「駐車時はPレンジに入れてください」とディスプレイに表示されるがオートPは作動しない。
この他にも色々とやってみたのだが、PレンジからDではなく“Bレンジ”に入れようとしたら「Bレンジにできません。切り替える場合はDにしてからシフト操作」がディスプレイに表示される。
要は車両側としては何重にもセーフティをかけているが、今回のテーマに限って言えば「電源オフはきちんとPレンジに入れてから行う」という当たり前の動作をきちんと行う必要があることなのだ。
■Dレンジから電源オフメはダメ!? 修理代は高額になるケースも
これに関しては知人のメカニック(ディーラー系)に話を聞いたが、「自分の立場からは大丈夫とは言えません。確実な操作を推奨します」とのこと。
まあ、当たり前だよね。と思いながらもさらに突っ込むと「ご存じの通りオートPは作動はしますが、Pに入れた後、電源オフにするのと、Dレンジから電源オフはメカ的にはエラーの発生や信号の流れからP機構への影響も考えられます。というか“ついうっかり”は事故のリスクが高まりますので、停車時にはサイドブレーキ等をしっかりかけた上でPレンジに入れ、最後に電源をOFFにするということを心がけて欲しいです」とのことだ。
ちなみにこの知人によれば「それでも過去1度だけ、今回のような“クセ”を持っているお客様がいて、店舗に来ても必ずといっていいほどDレンジで電源オフにしていました(外から見ると車両の動きである程度はわかるらしい)。
ただそのお客様のHEVは5万km前にPレンジ周り、正確に言えば電制シフト自体に不調が発生し、アッセンブリー交換により数万円(かなり二桁に近い)の修理費が発生したことがあります」とのことだ。
筆者も反省する部分はあるが、読者の皆さんも「取扱説明書」はきちんと読んでいるだろうか。
「多分大丈夫」という気持ちもわからないではないが、HEV等に限らず昨今のクルマは車載のシステムが複雑化している。ユーザーもその辺を理解してクルマを使用していくことをオススメする。
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