■交換部品を提示が安心につながる!? 見せる化が進む店舗は安心
ビッグモーターの一件で、風評被害に悩む現場は多い。規模の大小にかかわらず、「お前のところも(不正を)やっているんじゃないか」という辛辣な言葉をかけられることが増えていると、現役ディーラー整備士は話してくれた。
長年積み上げてきた信頼でも、一瞬で脆くも崩れ去る現実を目の当たりにし、自動車サービスの現場では、信頼回復へ向け、様々な施策を進める。
先に挙げた整備の「見える化」はもちろんのこと、「誰が・何を・どうやって」整備するのかなどを「見せる」動きも増えてきている。
筆者は先日、愛車を車検整備に入れた。馴染みのお店で不信感など微塵もないが、整備士は整備前、整備途中、整備完了後と事細かな説明を欠かさない。
交換された部品はビニールに入れられ整備完了後の説明時にテーブルまで持ち込まれる。不具合箇所の説明は実物を使って行う念の入れようだ。
お店によって対応に幅はあるが、定期点検で交換するワイパーゴムやエアコンフィルターでも、交換部品を見せながら納車説明する姿が増えている。
さすがにオイルや冷却水などの液体は難しいが、それでも可能な限り交換の証をユーザーへ示し、きめ細かい説明を行うお店が多くなってきた。
見える化とともに、見せる化にも注力する整備の現場。日々時間に追われ、時間が無い中で正確な作業を続ける整備士たちが、さらに説明にも時間をかける姿には頭が下がる思いだ。
こうした姿からは、「私たちを選んでいただければ安心ですよ」というプロの心意気を感じる。
■某事件は上層部が要因……健全な経営がやっぱり安心につながるのだ
安心できるお店は、世の中に数多く存在する。お店自らが不正の起こらない仕組みと環境を作り、従業員はそれを守っているのだ。
また、営業マンと整備士の仲が良く、風通しのいいお店も、安心できるお店だ。お客様の目が無くとも店舗内に他人の目があり、問題のあることを「おかしい!」と言える環境作りができていることになる。
今回の一件は現場で発生した問題だが、この問題の引き金を引いたのは、紛れもなくビッグモーターの経営陣であろう。
組織のトップが現場を知らずに「現場の努力が足りない」と言い出し、業績が上がらないのはスタッフのせいだと言いまわった。結果として、現場が半ば強制的に不正に手を染めざるをえなかったのだろう。
会見でも知らぬ存ぜぬを突き通した同社の前社長。この経営陣の誤った判断が、結果として業界全体への不信感につながっているということを、利用者側であるユーザーも理解する必要がある。
現場で働く営業マンや整備士全員が悪いことをしているという見方は、ユーザー側がやめるべきだ。
一方で、不信感を拭い去るには、ユーザーの目が現場の中に入り込むことも必要になる。ユーザーの厳しい目は、正しいことをしている営業マンや整備士を守ることにもつながるのだ。
一度失った信頼は、簡単に回復するものではない。ただ、正しいことを正しくやってきた自動車販売・整備の現場は、信頼回復へ向けて大きく動き出している。
私たちも、信頼できるお店を見つけたら、彼らの仕事ぶりをしっかりと見て、落ち込んだ業界全体を盛り上げていきたいものだ。
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