エスティマが長年愛される理由 稀代の名車か? 進化はどこまで続く?

■現行型がデビュー13年目でも人気のワケ

 これに続く3代目のエスティマがベールを脱ぐのは2006年1月だ。

 デザインはキープコンセプトだが、メッキギラギラの強面(こわおもて)で、背も高いフルサイズミニバンを嫌うユーザーや都市に似合う洗練されたデザインを好む人たちには愛された。

2016年に大きなマイナーチェンジを実施したエスティマ。安全性能、そしてハンドリングなども向上した

 また、パーソナルユースに似合うスタイルはワゴン派やセダン派などからも支持されている。

 先進性が感じられるインテリアやVIP感覚の上質なキャビンに惚れ込む人も多い。

 4気筒エンジンは2.4Lのままだが、V6エンジンは3.5Lとなり、ダイナミックな動力性能を手に入れた。

 また、ハイブリッド車は2.4Lエンジンにモーターを組み合わせたTHS IIとなり、これに電気式4WDのE-Fourを組み合わせている。

 基本的なメカニズムは後に登場するアルファードと兄弟車のヴェルファイアと変わらない。

 だが、他のLクラスミニバンより背が低く、車両重量も軽いから走りの実力は高く、快適性も高かった。

 ガソリン車、ハイブリッド車ともに人気だったが、リーマンショック以降はハイブリッド車が販売を伸ばしている。

 3代目はデビューから5年後でも月販1500台ペースをキープした化け物ミニバンだ。この時期にはモデルチェンジが噂されたが、安定して売れていたから、そのまま販売を続けている。

 そして誕生から丸10年を超えた2016年6月に気合いの入ったマイナーチェンジを断行した。

 先進感のある美しいシルエットは色あせていなかったが、フロントマスクを中心にフェイスリフトを行い、顔を大きく変えている。

 また、ミニバンとして初めてツートーンのボディカラーを設定し、ファッション性を高めた。

 インテリアには新デザインのメーターや大型のセンターコンソールを採用し、グレードごとに豊富にシートカラーを設定している。

 インパネなどの上質感、見栄えはよくなり、ライバルと比べても見劣りしないようになっている。古参モデルだが、基本デザインがいいこともあり、商品性は大きく向上した。

内装も現代風にアップデートしており、ライバル勢との差も少なくなってきた

 走りの実力もアップしている。きめ細かい改良によって軽やかな加速と優れたドライバビリティを身につけ、新世代UVガラスを採用したから静粛性も高い。

 ハイブリッド車は最新の2.5Lエンジン搭載車と比べると見劣りする。だが、実用燃費がいいなど、トータル性能は高い。また、2.4Lのガソリンエンジン搭載車も不満のない実力だ。

 ハンドリング性能と安全性の実力は大幅に引き上げられている。改良されたサスペンションとパフォーマンスダンパーの効果は絶大だ。

 基本設計は古いが、ボディ剛性は高められ、操舵フィールとタイヤの接地感は見違えるほどよくなった。

 乗り心地もしなやかさを増している。それだけではない。弱点だった先進安全装備も充実した。

 衝突回避支援ブレーキと車線逸脱警報に代表されるトヨタセーフティセンスCが搭載されたのだ。さすがに最新の安全装備ではないから万全ではない。だが、最低限の安全性は確保した。

 ワンモーションのキュートなフォルムに加え、最新モデルは安全装備と快適装備が充実している。

 不満だった走りの実力も高められた。満足度の高いミニバンへと成長したからデビューから13年になる今でもふた桁に迫る販売台数を記録しているのだろう。

 エスティマ恐るべし、である。さすがにこの先は販売が頭打ちになるだろう。だが、使い勝手がよく、洒落っ気のあるミニバンはエスティマだけしか存在しない。

 だから広さや押しの強さに目を向けない人は、今もエスティマに興味を持つのだろう。稀代の名ミニバンだ。

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