走りと3列目はセレナが優位!? 視界はステップワゴンがベスト!! 300万円台ミニバン日常使い徹底比較

■3列目の座り心地も予想外の結果!?

セレナの3列目シート。クッション性もあり3台中ベストな座り心地
セレナの3列目シート。クッション性もあり3台中ベストな座り心地

 面白い事実その3。3列目シートの座り心地にけっこうな差があること。以前から、3列目シートが唯一ダイブダウン型収納のステップワゴンが、荷室の使い勝手と引き換えにややシートバックが平板。結果として座り心地にチープ感があると評されていた。

 ところが、今回3車横並びで座り比べてみたところ、ノアのシートバックもステップワゴンと五十歩百歩。寸法や座面角度などを総合すると「ひょっとして一番ダメかも?」という評価になった。

 対して、あんまり期待されていなかったセレナが、クッション肉厚も充分で座り心地ベスト。静粛性に続いてさらに評価を高めることとなった。

0→50km/h加速タイム。発進加速はモーターが最もパワフルなステップワゴンが最速で気持ちいい!! 一方高速の追い越し加速ではセレナが奪首
0→50km/h加速タイム。発進加速はモーターが最もパワフルなステップワゴンが最速で気持ちいい!! 一方高速の追い越し加速ではセレナが奪首

 そのほか、2人乗車と6人乗車で0→50km/h加速タイムを計ってみると、エンジン回転がギンギンに上がるもののステップワゴンが最速。イメージ的に遅そうだったセレナが電動パワーをうまく使って2番手など、予想をくつがえすテスト結果もちらほら。

 やっぱし、クルマは実際に試してみないとわからない。それを実感した取材でした。
(文/鈴木直也)

■前方視界テスト

ノアのインパネ。3車の中では比較的セダンライクな運転姿勢

 前方視界は、視線に対してインパネの上端が低いステップワゴンが見やすい。飛び出し坊やの口から上が視野に入る。セレナは左目まで見えて、ノアは左目が半分隠れた。車両から左に50㎝離れた場所では、ステップワゴンは注意の文字が見えたが、セレナとノアは頭の部分だけだ。注意の文字はボディに隠れた。

 左側のAピラーに飛び出し坊やが隠れる車両からの距離は、ノアが78㎝で最も近く、次はセレナの90㎝。ステップワゴンは137㎝で隠れるから、ほかの2車に比べて衝突の危険が下がる。

 以上のようにステップワゴンは、運転席から周囲を見た時に、ウィンドウの下端やインパネが低く感じ、床も下がり、着座位置も低いから、背の低い障害物を見やすい。

 ノアも床と座る位置はステップワゴンに近いが、質感を高めるためにセダン的な囲まれ感を重視。この影響で背の低い障害物は若干見えにくい。

 セレナはプラットフォームの設計が古く床は高いが、ウィンドウの下端などを下げて、見下ろしやすくした。背の低い障害物も見やすいが、ステップワゴンほど視界はよくない。

■室内空間ドラポジチェック

・ノア

ノアのインパネ。3車の中では比較的セダンライクな運転姿勢
ノアのインパネ。3車の中では比較的セダンライクな運転姿勢

 ノアの運転姿勢とペダル配置は、今回取り上げた3車のミニバンでは最も自然だ。セダンから乗り換えても違和感が少ない。ATレバーも3車の中では最も操作しやすい。エアコンスイッチも従来のクルマに近く、誰でも直感的に扱える。逆にオーディオの操作は慣れを要する。

 3列目のシートは、サイズなどは平均的だが、背もたれや座面が薄い。その代わりワンタッチでコンパクトに格納できる。ノアは全般的に使いやすさを優先させた。

・セレナ

セレナのインパネ。シフト操作はボタン式
セレナのインパネ。シフト操作はボタン式

 運転席に座ると、左足を置くスペースが狭い。左足がインパネの下側に当たる。よって運転姿勢とペダル配置の採点が下がった。シフトはD/MやRなどの操作がボタン式に変更され、横向きに並べたから扱いにくい。オーディオも少々使いにくいが、エアコンの温度調節はしやすい。

 3列目のシートは、座面長がライバル2車よりも長い。1、2列目のスライド位置を共通化すると、セレナの3列目は足元空間が最も広く多人数乗車に適する。

・ステップワゴン

ステップワゴンのインパネ。シフトはe:HEVがボタン式で、ガソリン車はストレート式
ステップワゴンのインパネ。シフトはe:HEVがボタン式で、ガソリン車はストレート式

 運転席に座ると、シートの生地が滑りやすく、腰の収まり方が不満だ。もう少し体が座面に沈むといい。シフトスイッチも、プッシュボタンなどが混ざって使いにくい。シフトスイッチの左側に装着されるエアコンの操作パネルは、直感的に扱いやすい。オーディオの操作性も良好だ。

 3列目シートは床下に格納してスッキリした広い荷室になるが、座面長は40㎝と短く、座り心地に違和感が伴う。スライドドアの開口部は床が低く乗降性もいい。
(文/渡辺陽一郎)

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