「匠」の仕事をエンジニア視点で解説!! V37スカイライン最終章「NISMO」のすごさ

「匠」の仕事をエンジニア視点で解説!! V37スカイライン最終章「NISMO」のすごさ

 2023年8月8日、日産はスカイライン400Rの限定車「スカイラインNISMO」を発表。限定1000台で9月上旬より発売するという。さらに100台限定で「スカイラインNISMOリミテッド」も2024年夏に発売する計画だ。

 ド迫力なエアロバンパー、エンジンのチューニング、リヤタイヤ拡幅など、NISMO入魂のモデルとなっているスカイラインNISMO。SNSなどでは、現行スカイラインやこのスカイラインNISMOについて、ネガティブなコメントも多いが、性能以外のところで論じられていることが多いように思う。

 もちろん見た目も重要なのだが、クルマ好きの皆さんには、ぜひこのスカイラインNISIMOに搭載された最新テクノロジーの数々を知ってほしい!! ということで、スカイラインファンの筆者が、多くの人に知ってほしいと思う、スカイラインNISMOに投入された最新テクノロジーをいくつかご紹介しよう(というか、させてください!!)

文:吉川賢一
写真:NISSAN

ダウンフォース増加と空気抵抗低減を見事に両立

 エクステリアデザインでまず目を引くのは、NISMOがスーパーGTなどのレースで培った空力テクノロジーをベースに折り込んだ数々のエアロパーツだ。

 ダウンフォースが高いほど、高速走行時の直進安定性やコーナリング性能は向上するが、空気抵抗も増加してしまう。スカイラインNISMOでは、空気抵抗は低減しながらダウンフォースは増加させることを狙い、フロントバンパー下のディフューザー形状を変更。フロントセクションで強いダウンフォースを発生させている。フロントのダウンフォース増加は、ハンドル舵の効きを激変させてしまうが、そのあたりは、DAS(ダイレクトアダプティブステアリング)のチューニングによってカバーしているということだろう。

 強いダウンフォースによって増加した空気抵抗については、フロントバンパーに当たった気流をバンパーサイドにつけたカナードでボディサイドへ逃がすことで低減。ノートオーラNISMOやGT-R NISMO、フェアレディZ NISMOにも装着されているこの特徴的なカナードは、空気の流れをコントロールし、空気抵抗を下げるための重要なアイテムだ。もちろん、気流が剥離する車両後端も抜かりなく、NISMO専用リヤバンパーや、リヤバンパー下部形状、リヤスポイラー形状を最適化し、空気抵抗を低減しながらダウンフォースを大幅に向上させている。

スカイラインNISMOに装着されたフロントバンパー端のカナード。ノートオーラNISMOやGT-R NISMO、フェアレディZ NISMOにも装着されており、空気の流れをコントロールし、空気抵抗を下げるための重要なアイテムだ
スカイラインNISMOに装着されたフロントバンパー端のカナード。ノートオーラNISMOやGT-R NISMO、フェアレディZ NISMOにも装着されており、空気の流れをコントロールし、空気抵抗を下げるための重要なアイテムだ
フロントディフューザーの下側で強いダウンフォースを発揮するような形状となっている
フロントディフューザーの下側で強いダウンフォースを発揮するような形状となっている
フロントコーナーでの気流の乱れを無くし、ボディサイドへスムーズに流れるような形状に
フロントコーナーでの気流の乱れを無くし、ボディサイドへスムーズに流れるような形状に
リア側も気流が剥離する際に発生する渦を、極力小さくするようなリヤバンパー形状としている
リア側も気流が剥離する際に発生する渦を、極力小さくするようなリヤバンパー形状としている

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