新型クラウンスポーツの発売が、いよいよ近づいてきた。魅力的なスタイリングや、スポーツを名乗る走りなど、大いに期待させられる一台だが、トヨタ車といえばこの数か月、新型ランドクルーザー250の初公開やランドクルーザー70の再々販、新しいセンチュリーの発表など、ぞくぞくと新型車が登場しており、新型クラウンスポーツの印象がやや薄まりかけているようにも感じる。発売を目前に控え、ここで改めてクラウンスポーツの魅力と、2023年9月時点のライバルに対する優位性を確認しよう。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、LEXUS、MAZDA、MITSUBISHI
従来の「クラウン」の殻を破ったエクステリア、走りもクイックでしなやか
筆者が新型クラウンスポーツを目にしたのは、ゴールデンウィーク直前に行われた、プロトタイプのプチ試乗会だ。マッドブラック塗装の新型クラウンスポーツは、いい意味でトヨタらしくない「色気」が漂うクロスオーバーSUVであった。残念ながら、マッドブラックのカラーリングは市販予定にはないそうだが、ぜひトヨタ純正のラッピングオプションで選択できることを期待したいところ。
「色気」を漂わせていたのは、テールランプを中心としたリア周りだ。横長のテールランプ、左右のエアアウトレット風の縦スリッド、そしてブラックアウトしたリアアンダーディフューザーなどの造形に加えて、大きく盛り上がった筋肉質なリアフェンダーから覗くワイドタイヤなど、いかにも走りが良さそうな雰囲気に溢れている。クラウンクロスオーバーよりも40mm全幅がワイド化されていることも、「色気」の理由だろう。写真でみていた印象の2倍はかっこよく感じた。
インテリアに関しては、基本的にはクラウンクロスオーバーと同じだが、艶消しレッドのトリムパーツが施されており(おそらくオプション設定)、ブラック一色のインテリアよりも、色気と艶やかさがはるかに増している。このインテリアは上級グレードにのみ設定となるだろうが、選ぶとぐっと雰囲気が高まる。
ショートサーキットをチョイ乗り程度しかしていないので、乗り心地やノイズといった質感などは把握できていないが、新型クラウンスポーツのプロトタイプカーは、クラウンクロスオーバーよりもクイックに曲がる印象が強く、しかも、足の動きがしなやかに感じた。「スポーツ」という名のとおり、走りのポテンシャルは新型クラウンシリーズ中で、もっとも高くなるはずだ。
新型クラウンスポーツの価格は、筆者予想では、ハイブリッド車が435万~570万円、プラグインハイブリッド車はハリアーPHEV(620万円)とレクサスNX PHEV(725万円)の間となる670万円と予測している。ハイブリッド車の実用性も捨てがたいが、クラウンスポーツらしさを存分に味わいたいのならば、よりパワフルな動力性能を持つプラグインハイブリッド車を選ぶ必要があるかも知れない。
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