■タクシー用になると何がどう違うのか?
では、「タクシー用オールシーズンタイヤ」とは?何が違うのでしょう?
それはずばり、耐摩耗性能が高いのです。
一般家庭の乗用車の場合は年間走行距離が2万kmも走ればかなり多いほうでしょう。しかし、タクシーは地方であれば年間で6万kmほど、都心では10万kmも走ります。普通の乗用車用のタイヤを使っていたら年に何度もタイヤ交換が必要になってきてしまいます。
ランニングコストと手間から発生する機会損失は収益性にダイレクトに跳ね返ります。「メンテナンスフリーでたくさんの距離を走れる」のが何よりも大事なのです。
「耐摩耗性が高いなら普通のオールシーズンよりいいじゃん! 一般にも販売してよ!」ですって?
いや、確かにそう思うのも無理ありません。しかし、この世にそんなおいしい話はないのです。どんなことも「あちらが立てばこちらが立たず」。タイヤ性能においても例外はありません。
■メリットもあるのだが、デメリットももちろんあるワケだが……
耐摩耗性が高いということは、逆に言うとグリップが低くなるのです。とても乱暴に言ってしまうと、ゴムが硬くて削れにくく、路面の微小な凸凹への追従性が悪くなり、「路面を引っ掻く力」が出にくいのです。
私もタクシー向けと通常の乗用車用とさまざまなオールシーズンタイヤの試乗会に参加し、テストも実施しましたが、やはり総じてグリップが低くブレーキが止まらないのです。
ドライもウェットも氷上も、グリップが低くて通常のオールシーズンよりも止まりません。唯一、人や荷物をたくさん積載した条件での雪上ブレーキは少しだけいい製品もあり、そこはタクシー用の矜持を保ったかなと。
まあ、それでも問題はあまりありません。タクシードライバーは運転に慣れた上手な方が多いので、グリップが低いなら低いなりに慎重に運転すればいいのです。
「グリップが総じて低い」と言っても雪や氷は通常よりも数%落ちに頑張って留めていますので、シビア条件ではそこまで問題になりません。ドライやウェットはかなり落ちる印象がありますが、雪や氷でのシビアさに比べればはるかにリスクは低いですから。
■日本製品のなかに雪氷性能でタクシー用のほうが通常用を上回った製品が!
実はそんななかで感心したタイヤがありました。「狐に包まれた」と表現したほうがいいかもしれません。同製品の通常版よりもタクシー向けのほうが雪氷性能のいいタイヤがあったのです。
フィーリングとしては「硬いゴム×Vシェイプパターンがスパイク効果で高い剪断グリップを発揮する」ような印象でした。しかも、それが通常のセオリーとは異なり、硬圧雪やアイス路面でもいいのです。舗装路面でもこれまたいい。
もちろん固有名詞は出せませんが、ブランド名と会社名が異なる某日本の会社のアレです。短期間の試乗テストでは摩耗性まではわかりませんが、これで本当に摩耗性もいいなら一般向けよりも全般的によくて無敵じゃないですか。どうなってるの、Dタイヤさん??
さてさてそんなワケで、オールシーズンタイヤそのものとタクシー向けのオールシーズンタイヤとその特徴をおさらいしてきました。道路を走り回るタクシーのタイヤをチラッと見てみると、最近はオールシーズンタイヤを履いたタクシーがかなり増えてきたように感じます。
一般ユーザーはもちろん、タクシーや営業車などの商業車にもメリットの多いオールシーズンタイヤ。まだまだ「オールシーズンは中途半端で使えない!」と昔のイメージから毛嫌いされる方も少なくありませんが、もっともっとそのよさが広まれば日本の交通社会がよりいいものになると信じてやみません。
皆さんもぜひオールシーズンタイヤ試してみてくださいね! それではいいカーライフを!
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コメント
コメントの使い方×「狐に包まれた」
⚪︎「狐につままれた」
ですよ
https://www.weblio.jp/content/%E7%8B%90%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%BE%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%82%8B
マイカーのハスラーに合うサイズのオールシーズンタイヤのラインナップがとても少なくて、やっと見つけたのがランドセイルとか言う多分中国製のオールシーズンタイヤで、既に2年半経過しているがドライ性能もウェスト性能も特に不安は感じない。まだ一度も雪は積もっていないのでスタッドレス性能の方はわからない。