【唯一無二の価値で生誕50年!!】 フェアレディZの“GT-Rにはない”価値と魅力

 フェアレディZは、日産を代表する、世界に誇る量産スポーツカーの傑作である。車名からわかるように、歴代の「Z」は“究極の”そして“最高の”フェアレディであった。

 1969年の誕生から半世紀、50年の節目を迎えるフェアレディZは、同じく50周年を迎えたGT-Rとは違った道を歩み、GT-Rにはない存在価値を育んできた。

 そこで、フェアレディZが、これまで歩んできた道のりを、自動車ジャーナリストの片岡英明氏が解説。現時点で編集部が掴んでいる“次のZ”の情報とともに、フェアレディZの「これまで」と「これから」を紐解く。

文:片岡英明
写真:編集部、NISSAN

国内専用だったGT-Rと海外でも名を馳せた「Z」

ともに1969年に登場したスカイラインGT-RとフェアレディZ(写真右=S31型)。その後、GT-Rはスカイラインから独立し、Zは6代目として2019年に50周年を迎えた

 ちなみに、Zとともに「GT-R生誕50thアニバーサリー」も発表された。このことから分かるように、日産を代表するスーパースポーツがフェアレディZとGT-Rなのだ。

 両車は同じ時期に誕生し、常に高度なメカニズムと群を抜く速さを武器に、時代をリードしてきた。

 フェアレディZは1969年10月18日にベールを脱いでいる。当時の社長だった川又克二氏はオープンボディにこだわったが、設計陣はクーペボディを推した。

 速いだけでなく、夏でも冬でも快適で、気持ちいい走りを実現するためにはクローズドボディのほうが有利だと判断したからだ。この英断が、フェアレディZを自動車史に残る名車へと押し上げた。

 GT-Rは国内専用モデルと割り切り、海外では発売していない。これに対しフェアレディZには海外でも販売した。ファンから「ズィーカー」のニックネームを与えられるとともに熱狂的なZマニアをも生み出している。

 時代に先駆けて3速ATを用意し、快適なエアコンやパワーウインドウも選べるようにした。だから旧態依然とした欧州の老舗スポーツカーを生産打ち切りに追いやったし、ポルシェを慌てさせている。

 当然だろう。ポルシェ911並みの高性能でありながら快適性は高く、しかもリーズナブルな価格設定だった。だから飛ぶように売れたのだ。

 初代モデルは世界中で55万台の販売を記録するヒット作になり、日本でも8万台の販売を記録。日本での知名度はGT-Rのほうが上かもしれない。だが、世界で多くの人たちに知られているのはフェアレディZだ。

昭和から平成へ Zの進化と衝撃与えた「Z32」

フェアレディZの歴代モデル。手前が初代、後列の左から順に2代目、3代目、4代目、そして先代モデルの5代目

 1978年8月に2代目の「S130」系フェアレディZにバトンを託した。2代目はグランドツーリングカーとしての性格を強めたが、ユーザー層も広げた。

 初代と比べると日本では影の薄い存在だったが、海外ではヒット作となり、41万台の販売を記録。初代と同様にアメリカの景色を変えてしまったのだ。

 1983年9月に型式「Z31」を名乗る3代目がデビューする。セミリトラクタブル式ヘッドライトを採用し、心臓はVG系のV型6気筒SOHCターボとした。

 だが、走りにこだわる日本のファンのことも忘れてはいない。1985年11月に投入した直列6気筒DOHCセラミックターボ搭載の「200ZR」は、それを証明したホットモデルだ。このZ31系フェアレディZも30万台を超える販売を達成した。

4代目「Z32」フェアレディZ。エンジンは3LのVG30DE型V型6気筒DOHCで自然吸気とターボをともにラインナップ。日本初の280馬力モデルともなった

 4代目の「Z32」系フェアレディZはバブルの頂点にある1989年7月に鮮烈なデビューを飾っている。3ナンバーのワイドボディは美しいフォルムだ。30年後の今になってもカッコいい。

 メカニズムも最先端のものを積極的に導入し、サスペンションはR32系のスカイラインと同じ4輪マルチリンクとし、4輪操舵の「スーパーHICAS」も採用。欧州の一流スポーツカーを超えることを目指したのが4代目フェアレディZだ。
 
 ライバルたちに、初代に劣らないほどの衝撃を与えた。奇しくも同じ年に登場したR32系のスカイラインとGT-Rも、スポーティな味わいに回帰し、ヒット作となっている。
 
 北米では高性能なスポーツカーの保険料が高騰するなど、逆風が吹き荒れた。だが、Z32系フェアレディZは10年以上も第一線で活躍を続けたのである。

原点回帰で復活した“21世紀の”フェアレディZ

2000年にZ32型が生産終了して以来、約2年ぶりの復活となったZ33型。初代を彷彿とさせるロングノーズ・ショートデッキデザインで原点回帰を果たした

 2000年にフェアレディZは日産の販売リストから一旦姿を消した。だが、あのカルロス・ゴーン氏が唱えた日産リバイバルプランのリーダーとして2002年7月に350ZXを登場させている。
 
 5代目の「Z33」系フェアレディZは2シーターモデルだけと割り切り、エンジンは自然吸気の3.5Lとした。2007年1月にはエンジンを刺激的なVQ35HR型に換装している。

 21世紀のフェアレディZは、デザイン、コンセプトともに初代に立ち返った。これに続く6代目の370ZXは、2008年12月に型式「Z34」を名乗って登場する。

 心臓はV36系スカイラインクーペと同じVVEL(=新型のバルブコントロール機構)を採用した3.7LのV型6気筒DOHCだ。
 
 運動性能を高めるために5代目よりホイールベースを100mmも縮め、スポーツカーらしいキビキビとしたハンドリングを手にいれた。また、専用チューンを施したNISMOも登場する。

初代から受け継がれるフェアレディZの魅力とは?

2008年登場の現行型フェアレディZ。高価になったGT-Rとは異なり、登場時の価格は362万2500円~と「頑張れば何とか手が届く日産のスポーツカー」としても希少な存在に

 日産は初代のフィロソフィーを受け継ぎながら、フェアレディZを21世紀にふさわしいスポーツカーへと成長させた。意のままの気持ちいい走りは、GT-Rと共通するところであり、支持される理由ともなっている。

 同じ時期、国内専用だったGT-Rはスカイラインの名を捨て「ニッサンGT-R」として新しい道を歩み始めた。スカイラインファンは嘆き悲しんだが、GT-Rの名声は世界に轟いている。
 
 フェアレディZ(とGT-R)は50年の長きにわたってスポーツカー、スポーツクーペの代表の座を守り通してきた。

 過去の栄光に執着することなく、新しい技術に磨きをかけ、時代が求める新しいスポーツカー像に挑んでいるのがフェアレディZだ。だから50年にわたって多くのファンに愛されているのである。
 
 これからも世界中のスポーツカーの指標となり続けることだろう。日産のイメージアップに大きく貢献し、日本車のイメージを大きく変えたピュアスポーツカー、それがフェアレディZなのだ。

◆  ◆  ◆

 現行型のフェアレディZは2008年12月の登場からすでに10年以上が経過。通算7代目となる次期型については、これまで何度もその情報が伝えられながら厳しい市場環境もあり、市販化には至っていない。

 しかし、当サイトでも既報のとおり、次期型フェアレディZはインフィニティQ60のコンポーネンツを活かす形で開発が進められているとの情報が入ってきている。

 50年の歴史を経て、新しい時代へ。日本を代表するスポーツカー、フェアレディZが今後、どのような進化を遂げていくかにも注目だ。

本誌予想CG。直線基調のシャープなデザインが予想される次期Zは、時代の求める新しいスポーツカー像を提案できるか。名門車の命運を握る

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