新しいセンチュリーが公開されたのが9月6日。そしてプロトタイプとはいえ、レクサスLMに乗ることができたのが9月15日のことだった。トヨタブランドとレクサスブランドとはいえ、どちらも「トヨタ自動車」が開発し、日本を含めたグローバルに向けて販売をしていく後席乗員を主とした超高級車が2車、相次いで世に示されたというのは、衝撃的な出来事といって間違いないだろう。
さて、トヨタ自動車が送り出す2台のVVIP車、センチュリーとレクサスLM、果たしてメインとなる後席の快適性はどちらが勝るのか? 止まった状態で後席に座って、その未知の空間の快適性をじっくりと掘り下げていきたいと思う。
文:梅木智晴(ベストカー編集委員)/写真:トヨタ自動車、ベストカー編集部
世界に通用するVVIP車2モデルのプラットフォームは共通
センチュリーの価格は2500万円と公表された。一方、「今秋発売」とされるレクサスLMの価格は今日現在未公表。おそらくは1900万~2200万円前後と推測される。どちらも超高額車で、一般庶民が簡単に手にできるクルマではないことは明らかだ。
センチュリーもLMも、実はGA-Kプラットフォームをベースとした兄弟車? ……という言い方はまったくもって適切ではないことは百も承知だが、敢えて言えば、まあ、そういうことになる。GA-Kはトヨタがミッド~ラージクラス向けに開発した渾身のTNGAプラットフォームで、幅広い車種に対応するバーサビリティに富んだプラットフォームなのである。
もちろん、両車ともに「基本となるプラットフォーム開発」が共通にスタートした、という意味であり、車型の違いや重量、重心の違いなど細部は各車ごとに専用のセットアップが加えられ、開発が進められている。フロント=ストラット、リア=ダブルウィッシュボーンという「サスペンション形式」は同じだが、言うまでもなくバネショックアブソーバーのチューニングも各車それぞれオリジナルに開発されており、それぞれの特性に合わせた性能に仕上げられている。
圧倒的な後席空間の広さとシートの豪華さ、異次元空間を体感できるレクサスLM
両車ともに後席はワイドなセンターアームレストでセパレートされた左右独立タイプの本革張り大型リクライニングシートを採用する。シート本体はフロアに固定されていて前後スライド機構はない。座ってみると、座面、背もたれともにたっぷりとしたクッションの厚みがあり、わざと体重をかけるような座り方をしても底付き感などはまったく感じない。しかし、けっしてフカフカのソファーのような座り心地ではなく、しっかりと反力を感じさせるクッションで、体重を預けるとクッションが体形に合わせて沈み込み、しっかりと身体をホールドしてくれる。この「着座感」はセンチュリー、レクサスLMともに大きな差は感じなかった。
レクサスLMとセンチュリーの後席の「座り心地」や「肌触り感」は両車ともに極上で、その優劣はとてもではないが判断することはできなかった。
足元空間を含めた後席空間の広さなら圧倒的にレクサスLMだ。Bピラーの位置に運転席と後席空間を仕切るパーティションが設置される。パーティション中央に48インチの大型モニターが配置され、左右足元スペース先には例えば脱いだ靴などを置くことができる空間が確保されている。この空間の上部にはビジネスバッグなどを収納できる小物入れがあり、センター部分には冷蔵庫まで置かれる。後席座面先端はスライドア開口部とほぼ同一なので、座面先端からパーティションまでの長さはザっと800㎜はある。後席に座ってオットマンを引き上げて足を延ばしたところで、パーティションに足先が当たるようなことはないどころか、まだまだ空間に余裕があるほどだ。室内高も高く、後席室内空間は開放感があってとにかく広々とした印象なのだ。
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