昔はスポーティなクルマほど「足のいいヤツ」と評価されてきたが最近はちょっと違う。ベーシックな5ドアのインプレッサだって、ミニバンにヴェルファイアも足のいいヤツ!! では現代の足の評価ってどうやってるのよ!?
※本稿は2023年8月のものです
文/鈴木直也、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2023年9月26日号
■「足のいいクルマ」とは何か?
ベストカー読者の皆さんだったら、「おっ、カリーナ!?」と思い起こす方も多いかもしれない。
1970年に登場した初代カリーナがマイチェンした時のCMキャッチコピーが「足のいいヤツ」だった。カリーナは4ドアセダンなんだけど、セリカの基本シャシーをベースとしたいわば兄弟車で、足のよさをアピールしたのだ。
1970年代前半の日本車、特に4ドアセダンは乗り心地を重視していたり、逆に耐久性を重視したゴツイ乗り味が当たり前という時代だった。
そんな時代にスポーティでしなやかな乗り味をアピールする新型車カリーナは、「足のいいヤツ」をキャッチフレーズにその存在感をアピールしたのであった。
でも「足のいい」とは何なのか? どんな「足」が「いい足」なのか?
1970年代~1980年代前半の日本車は、たしかに欧州車に比べて足回り=操縦性の面では後れを取っていた。まだまだ未舗装路も多く残っていたことも背景にはあるだろう。
なによりも堅牢さが求められるから、どうしてもバネは硬く、ショックアブソーバーの技術も未熟だったので、それゆえハードなバネをしっかりと抑える減衰特性を作り出せなかったということもあろう。FR車のリアサスはリジッドアクスルが主流で、4輪独立懸架のクルマは少数派だった。
■「足のよさ」=スポーティだった時代
セリカやフェアレディZ、スカイラインGTのようなスポーティ性を売り物にするクルマは舗装路を主体に走ると割り切って、操縦性を重視したサスペンションセッティングをしてきたため、「足がいい」はすなわち操縦性に優れるスポーツモデル、という方程式が出来上がった。
1980年代が終わり1990年頃になると日本車の操縦性は劇的に進化した。R32型スカイラインや初代ロードスター、P10型プリメーラなどはその嚆矢だった。スポーツセダンという言葉が広まった。4ドアセダンであっても、昭和から平成時代の「足のいいヤツ」はスポーティカーだったのだ。
平成の中期以降、2000年代に入るとファミリーセダンにかわってミニバンが台頭する。車高が高く重心が高いミニバンは、その特性上、操縦性をアピールするものではなかった。3代目オデッセイはあえてミニバンで足のよさをアピールする異端児だったのだ。
でも令和の時代になるとずいぶんと「足のいいヤツ」に対する考え方は変わってきた。スポーティな操縦性だけではなく、しなやかで乗り心地に優れた「足のいいヤツ」がSUVやミニバン、コンパクトカーにも登場している。
さあ、令和の時代の「足のいいヤツ」とはどんなクルマなのか?
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