危ない？　邪魔？？　そんなこと言わないで…「自転車を免許制に」の是非を考える

守らなくていいという空気が社会のなかでできてしまっている

　自転車は、小学生くらいの子供から年配者まで、幅広い年代が利用する乗り物ですが、悪質なルール違反については、子供よりも大人のほうが圧倒的に多いような気がします。細かな交通ルールについては、子供のうちはもしかしたら知らないこともあるかもしれませんが、未就学児や小学生など、保護者がついて見ているうちは、「クルマが来るから端を走って」 「そこは一時停止して」など、基本の交通ルールは教わっているはずで、子供はいわれたことに従いながら、危険を理解していくそう。

　大人は、交通ルールを知っていたとしても、「誰も見ていないから大丈夫」 「みんなもやっているし、これまでも危なくなかったから大丈夫」 「自転車は取り締まられることがない」などの勝手な解釈のもと、平気でルールを守らない、守らなくていいという空気が社会のなかでできてしまっており、これが、自転車ユーザーに交通ルールが浸透しない、一番の問題ではないでしょうか。

　そう考えると、免許証制度を導入するよりも、いかに交通マナーを根付かせるかに力やお金をかけるほうが効果的ではないか、と筆者は考えます。

反則金制度が導入される動きも

　こうした大人に、「自転車は車両の一種であり、交通ルールはしっかりと守らなければならない」ということを根付かせるひとつの方法として、クルマの運転免許更新時に、自転車に係る交通ルールの講義を必須項目とする、という方法はどうでしょうか。

　国内の運転免許証取得者数はおよそ8000万人で、内閣府によると、保有率は74.8％（16歳以上の人口に対する運転免許保有者数の割合、平成28年度交通安全白書）。運転免許を持っていない人のほうが交通ルールを遵守する意識が低いことが考えられるので、そこに対するフォローも必要ではありますが、7.5割の人がもつクルマの運転免許の更新時に、自転車に係る交通ルールや自転車が関係した事故事例などを紹介し、教育をしていくことは、コストを抑えつつ効果的に周知させていくことができるような気がします。

　自転車のルール違反については、警察庁としても問題視をしているようで、クルマやバイク同様に交通反則通告制度（6点以下の違反において、反則金を納めることで刑事罰（罰金の支払い）を免れる制度）を導入するという動きもあるようです。自転車の交通違反については現状、罰則を伴わない「警告」が行われているようですが、反則金制度が導入されることで、ルールが定着していくことが考えられ、導入されることを期待したいです。

　また同時に、自転車が走るための道路整備も進めてほしいところです。自転車専用道路の設置は難しいケースも多いと思いますが、交通事故を減らしていくためにはできる限り整備されていくことは必要なことだと考えます。そして何より、警察による自転車ユーザーへの指導も、もっと徹底するべきではないでしょうか。こうした環境整備と警察による指導の強化、反則金制度の導入などの検討、そして日々の啓蒙によって、根気強くルールを根付かせていくことが必要だと考えます。

　（※編集部注／自動車情報専門メディアとしては、自転車の危険走行に心を痛めるとともに、一部の自動車ユーザーの「自転車の”動き”や関連法規”に対する敵意」にも心を痛めております。自転車ユーザーがクルマの動きやドライバーの意識を理解せずに公道を走るのは大変危険ですが、それはドライバー側も同じはずであり、どちらもお互いをもうすこし理解して、同じ道路を走る者として気遣いをし合う意識が重要なのではないかと思います。本記事がその一助となることを願います）