アルファードたち人気車は最初から売れていたのか? 初代モデルの評価と売れゆき4選

初代アルファード/2002年登場

初代アルファード(2002-2008年)/現行型は3代目で人気ミニバンとして定着。実は初代は2003年に年間8万3529台を売り上げ、現在(=2018年、5万8806台)以上に台数を稼いでいた

 トヨタは1995年にLサイズミニバンのグランビアを発売して、全幅を5ナンバーサイズに抑えたハイエースレジアスも加えた。さらに姉妹車も登場したが、売れ行きが伸び悩んだ。1997年に初代エルグランドが発売されると、販売面で差を付けられた。

 この時代のトヨタは、自社製品よりも好調に売れるライバル車を許さなかったから、「打倒エルグランド」をめざして新型車を開発した。それが2002年に発売された初代アルファードであった。

 グランビアやハイエースレジアスの基本設計は、ワンボックスバンに近い後輪駆動だが(ハイエースレジアスには商用車もあった)、車名を変えたアルファードは前輪駆動に変更して床を下げた。乗降性、走行安定性、乗り心地などを向上させ、外観もメッキグリルの装着で上質だ。

 内装ではインパネに木目調パネルを使ってクラウンのように造り込み、前輪駆動による低床設計を生かして居住性も快適に仕上げた。

 そして発表日は2代目エルグランドの翌日であった。報道発表会には、CMに起用した俳優のジャン・レノを招いてアピールでも差を付けている。

 一方、2代目エルグランドは、基本部分を初代と共通化した。当時の日産は業績を悪化させ、開発費用を投入しにくい事情もあった。後輪駆動だから床が高く、乗降性も良くない。フロントマスクは、斬新ともいえるが、評判はあまり良くなかった。

 その結果、2代目エルグランドは伸び悩み、初代アルファードは好調に売れてトヨタは目的を達成した。

 この後の2代目アルファードは、ネッツトヨタ店の取り扱いのモデルをヴェルファイアの車名で独立させ、異なるフロントマスクを与えて売れ行きを一層伸ばした。

 現行型も基本路線は初代から継承されている。外観のデザインも、フロントマスクは大きく変わったが、ボディの基本スタイルは同じだ。

 これはミニバンが、形状的な進化の時代を終えて、もはや変えようのない段階に入ったことを示している。

初代ワゴンR/1993年登場

初代ワゴンR(1993-1998年)/現在は6代目に突入しているロングセラー。今ではN-BOXなど背の高いモデルに主役の座を譲ったものの、初代から今日まで安定した人気を維持し続けている

 今は新車販売の40%近くを軽自動車が占める。しかも軽乗用車の約80%が、全高を1600mm以上に設定した背の高い車種だ。

 この先駆けが、1993年に発売された初代ワゴンRであった。全高は1680mmだから当時のアルトに比べると200mm以上高い。着座位置も持ち上げたから、乗員が座った時に足が前方へ投げ出されず、狭い空間なのに快適に座れた。

 そして後席は、現行型と同じく、背もたれを倒すと座面も連動して下がる。フラットで広い荷室に変更できた。助手席の座面の下には大きな収納設備が備わり、これも現行型と同じく車外へ持ち出せる。

 このように、ワゴンRの個性的な機能は、初代モデルで確立されていた。

 フロントマスクも個性的だ。当時のデザインは、大半が幅をワイドに見せようとしていたが、ワゴンRはヘッドランプが少し縦長で背の高さを強調している。すべてが新鮮であった。

 ただし、発売するまでは売れるか否か分からない。スズキでは社内的な部品の共用化率を70%に高めてコストを抑え、1か月の販売目標を5000台に設定して発売した。

 通常の車の売れ方は、発売直後が好調で、次第に下降するが、初代ワゴンRは違った。1993年も相応に人気を得たが、1994年になると月販平均台数が目標の2倍となる1万台を超えた。

 1995年は1万5000台、1996年には1万7000台と増えていく。まさに生活のツールとして浸透していった。

 その後のワゴンRは、基本路線を変えずに人気車であり続けている。つまり歴代ワゴンRのすべてが、初代モデルの成功の上に成り立っているといえる。

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