■それって脱税じゃ? 個人の責任と言えない状況になるかも
繰り返しになるが軽自動車は車体寸法や排気量など軽自動車規格を遵守することをある種の「条件」として、税金が安くなり、通行料金の割引や諸手続きの簡素化など恩恵を受けている。「ひとり1台」の地域であれば、軽自動車が存在する恩恵は非常に大きい。
これはジムニーだって他人事ではなく、軽自動車での恩恵を享受するのであれば車体がその規格をオーバーすることは許されない。厳密にいえば税金逃れと受け止められる可能性だってある。
軽自動車検査協会の窓口でもジムニーというだけで検査も改造申請も厳しくなった印象がある。「フェンダーを付けたら大丈夫という誤解も未だにある。軽自動車規格からはみ出せば違反だし、車検なんて通せないよ」という検査員もいた。
もちろん違反切符を切られても構わないというオーナーもいるのかもしれないが、今後も違法行為を野放しにしていればどんどんジムニーに対する締め付けが厳しくなるのは当然のことだろう。
違法改造車を起因としてリフトアップなどの法的に許容されているチューニングまで批判されるケースも多々あり、カスタマイズの楽しみがどんどん狭くなっていく可能性も理解する必要がある。
最後にジムニーの歴史を振り返ってみたい。ジムニーはホープ自動車という自動車メーカーをルーツに持つクルマだ。同社の「ホープスター」という4WD車に目を付けたスズキの鈴木修氏が製造権を獲得。それがのちのジムニーになる。
ジムニーの祖先ともいうべき「ホープスター ON型」のカタログには「軽免許で乗れる不整地万能車」というキャッチコピーが輝いていた。ジムニーは軽自動車だからこそ意味がある4WDで、その意志をスズキは引き継いでいる。
せっかくの軽自動車規格なのだから、公道ではその恩恵をフルに生かしたジムニーライフを送るのが一番ではないだろうか。大きなタイヤならそれこそジムニーシエラも選べるのだし、一部の心ない人のせいでジムニーをカスタマイズするオーナー全体が悪とみられるのは、ジムニーオーナーとしてはあまりに悲しくはないでだろうか。
もちろんどんなクルマでも違法改造は言語道断だ。
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