■ターニングポイントとなった2000年排ガス規制の頃に1基の2.5Lターボ誕生!
R34スカイラインGT-Rは1999年1月に登場し、2002年12月に生産を終了する。2002年という年は日本のハイパースポーツにとって最悪の年だった。80スープラ、FD型RX-7、S15シルビア、そしてR34スカイラインGT-Rなど、名だたる国産スポーツカーが姿を消すことになったからだ。
これは平成12年(2000年)に施行された平成12年排ガス規制によるものだった。既存の生産車は2年の猶予期間が設けられていたが、これをクリアすることはできず該当年となる2002年に前述した多くのハイパー(ターボ)スポーツカーは生産終了に追い込まれたのだ。
そんな時期に1基の不思議なエンジンが存在した。2001年に登場した2代目ステージアに搭載されていたVQ25DET型エンジンだ。2.5LのV6DOHCターボで最高出力が280ps/6400pm、最大トルクは41.5kgm/3200rpmを発揮。
■R34GT-RのRB26DETTを上回るスペック!
このパワースペックはR34スカイラインGT-Rが積むRB26DETTのカタログ数値(280ps/40.0kgm)を上回るものだった。巷ではドッカンターボと評されていたが、その分ターボを効かせて迫力の加速性能を見せるタイプのエンジンだった。
不思議なのは平成12年規制が施行され、平成17年(2005年)には当時世界一厳しいと言われた平成17年排ガス規制=新長期規制が控えているのに、なぜこのタイミングでターボエンジンを新開発したのかということだ。
初代ステージアは1996年に登場。翌1997年10月、ステージアにR33GT-Rのパワーユニット及びリアサスペンションを移植したオーテックバージョン「260RS」が登場する。
性能的にGT-Rのワゴンバージョンといった位置づけだったこともあって、高価だったにもかかわらず前期型1000台、後期型700台をあっさり売り切るほど好評を博した。だから自然な流れとして次期ステージアにもGT-R用エンジン搭載モデルが用意されていたとしても違和感はない。
次期スカイラインとなる、V35スカイラインもFMプラットフォームの採用が予定されていたため、RB系の直6エンジンではなく、V6のVQ系エンジンが搭載されることが決まっていた。
■ある時期まではVQ25DETがR35GT-Rの心臓部だった?
そう、実はVQ25DET型はある時期まで次期(スカイライン)V35GT-R用のエンジンとして開発されていた。
R34スカイラインGT-Rは1999年1月にデビュー。2000年に施行される平成12年排ガス規制を考えれば、既存のターボエンジンでは生き残ることができないから、次期GT-Rに搭載することも視野に入れ、かつ平成12年規制がクリアできる2.5L前後のターボエンジンとして開発されていたのだ。
FMプラットフォームの開発は1995年頃から始まったといわれているから、R34スカイライン(1998年~)の次のモデル(V35スカイライン)にこのプラットフォームが採用されることが考えられており、搭載するエンジンも直6からV6になることもほぼ同時期に決まっていたはず。
1995年当時、バブル崩壊と言われながらまだ実感がなく、バブルの大きな慣性力で世の中が動いていた頃。日産は気づけば2兆円の有利子負債を抱え、経営危機に瀕するところまで追いつめられていた。
コメント
コメントの使い方VQ25DETがデビューした当時、何故かステージアにしか搭載されなかったのが違和感で仕方が無かったんですけど、そういった意味があったんですねぇ。
V35スカイライン(クーペ含む)にMTとセットで搭載されていたら、少しはスカイラインの立ち位置が変わっていたと思うと、残念で仕方がありませんね…。