2019年5月8日、滋賀県大津市で右折しようとしたクルマをよけた直進車が歩道に乗り上げ、そこにた保育園児を巻き込む痛ましい事故が起きた。
2人の幼い命が奪われた事故だったが、今回のような右直事故による過失の割合が近年大きく変わってきた。
信号が青であれば原則として直進車に優先権があり、無理をした右折車の過失しかないようにも思える。
しかし実際には直進車にも一定の過失がついている判例が多い。今回の事故も直進車のドライバーが逮捕され夜になって保釈はされたものの、メディアによって実名が報道されてしまった。
なぜそのような事態になったのだろうか? 右直事故の過失割合の現状について迫ります。
※画像はイメージです
文:国沢光宏/写真:Adobe Stock
■なぜ直進車の運転手まで逮捕されることになったのか?
いまさら説明するまでもないけれど、事故を起こした場合、何らかの「過失」があったと考えていい。道交法を守っており、しかも過失なければ事故など起きないですから。
先日、滋賀県の大津で幼児2人を亡くす痛ましい事故が起きた。事故の形態から言えば、いわゆる「右直」です。右折車と直進車の事故だ。
この形態、直進車側に何の問題もないと思う。けれど直進車側も逮捕され、手錠掛けられ名前まで晒された。気が弱い人なら自殺の可能性だって考えられる。
果たして直進側に逮捕されるような過失あったのだろうか? ということで過去の判例を紹介したい。
まず右直事故の基本的な過失割合だけれど、直進車と右折車共に青信号だった場合、右折車側が80%という過失になる。なぜ直進側も20%の過失を取られるかと言えば、明確な証拠ないからだ。
以下、相当オタンコな話です。今まで100対ゼロの過失割合を取られるケースは、片方が停止している追突などのケースに限られていた。
交差点で赤信号を無視してきたクルマに横から突っ込まれても、突っ込まれた側に10〜20%過失ある、とされていたワケ。理由は簡単。明確な証拠がないからだ。
当事者同士だと自分に有利な信号の色を主張するだろうし、目撃者いたって裁判官はそれを100%信じることもできない。
そんなことから「お互い気を付けるように」などと言われ、被害者にも10〜20%の過失を押しつけてきた。証拠なければしかたなかったかもしれない。
されど現実問題として「青信号で交差点を通過したら横から信号無視のクルマが出てきて衝突した」なんて事故だと、誰だって避けられない。
ということから、最近ドライブレコーダーの映像が残っている事故で、明らかに避けられないような事故は100%の過失を認めるようになってきた。当たり前である!
■ドラレコが証拠となり本来であれば過失がない状況だった
といったことを前提に大津の事故の過失相殺を考えたらどうなるだろうか? この事故、直進側の軽自動車にドライブレコーダーが付いており、状況がハッキリ残ってます。
記者クラブに出された情報によれば、直進車側の信号は青。直進車側に大きな制限速度違反なし。そして無理な右折をして衝突した乗用車の前に、他の右折していく車両があった。
おそらく直進側も注意していたと思う。といったなか、突如右折してくる車両に遭遇したらどうか?
1.ブレーキかける
2.ハンドル切って避ける
3.パニックになり何もできない
上記のどれかだと思う。ここでの対応は過失を取れないです。道交法にも書かれていない。したがってドライブレコーダーの証拠なくて直進車の過失20%。
あれば限りなく0%になると考えていい。なのに前述の通り今回直進車も逮捕されている。
どういった状況で直進車に50%以上の過失があるかといえば、信号無視です。逆にいえば信号無視してない限り直進車は被害者だ。
どうして警察は事故直後にドライブレコーダーの画像を確認しなかったのだろうか? 夜になって釈放されたが、全国メディアに名前も出た。
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