■しょぼくれたお父さんが山Pに変身した!
走り始めてすぐに、このクルマがただものではないことに気がついた。「これはいい」「これは凄い」「これはやばい」とうわごとのように呟きながらの運転。正直に言って、走る前の段階では「いいね」(←わりと冷静)くらいだったのだが、走りは想像を絶するよさだったのだ!
何がいいって、まずエンジンが素晴らしい。この1.8Lターボは日産のシルフィのエンジンをルノーがターボを付けてチューニングしたと聞いて、ひっくり返りそうになった。あのなんでもないエンジンがこんなふうに化けるのか。もはやライザップである。
新橋の焼鳥屋で愚痴っているしょぼくれたお父さんが、山P(山下智久)に変身するようなものではないか。これは魔法といっても過言ではない。
また、足回りも絶妙である。4コントロールという後ろのタイヤも前輪と同位相、逆位相に動かす機構が付いているらしいが、その仕組みはよくわからないものの、結果的に「ただものではない走り」を生んでいるのだから効果絶大ということなのだろう。足は硬いのに乗り心地は悪くなく、そのバランスが絶妙なのだ。
そう考えると440万円は安いとも思えてくる。そのうちの300万円くらいは「走り」にお金をかけているのではないか。まさに「走りオタク」のためのクルマである。
今の時代、走りにこだわるユーザーは減少の一途を辿っているが、だからといって、そんな自分を恥ずかしいと思う必要はないし、逆に少数派だからこその利点を考えるべきだ。メガーヌR.S.のようなクルマは世の中にたくさん出てこない。その希少性をありがたがるべきなのだ。
平成から令和に変わり、そのあたりにも変化が訪れるのではないかと思っている。令和の子どもが免許を取る令和20年頃、メガーヌR.S.は「最後のガソリンターボスポーツ」ということで、新車価格よりも高値で取り引きされている様子が私の水晶玉に映っている。
かつて、R34型のスカイラインGT-Rが登場した時、私はこの連載で「格好はおもちゃみたいだが、走りは素晴らしい!」とコメントした。こんなに気持ちいい走りをするとはさすがGT-Rだと唸り、本気で欲しいと思った。そして、GT-Rは今、とんでもない価格で中古車が売られている。
メガーヌR.S.は、あのGT-Rと同じ匂いがする。440万円はけっこうなお値段だが、20年間置いておくつもりなら、絶対に損はしない。私の水晶玉が、そんな未来を予言している。
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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