小型トラックのベストセラーにEV追加……標準キャブは30年ぶり一新!! いすゞ新型「エルフ」徹底試乗!!

■そして7代目誕生!

エルフ・ハイキャブをベースとしたEカーゴ。売れ筋のドライバン完成車だ
エルフ・ハイキャブをベースとしたEカーゴ。売れ筋のドライバン完成車だ

 新型エルフは、2023年3月7日に発表された。基本設計は、先代(6代目)で新開発したものを継承する部分も多いが、シャシーはディーゼル車とEVで共通化すべく、フレーム構成とE/Eアーキテクチャー(電気・電子システムの構造)を改めた「I-MACS」プラットフォームへ進化した。

 伴せて、小トラ初を含むADAS(先進ドライバー支援システム)の装備が一挙に進められ、また30年ぶりに標準キャブを一新、ドライバーの居住性と安全性を高めたことも、大きなニュースである。

 歴代エルフが支えてきた「日本の働くクルマ」を、これから担っていく新型エルフには、見どころが満載だ。

■限られた寸法で大きく進化したキャブ

エルフ・GVW5t・標準キャブ・標準ボディ・フルフラットロー2t積(右)と、エルフEV・GVW5t・ハイキャブ・標準ボディ・フルフラットロー1.7t積(左)
エルフ・GVW5t・標準キャブ・標準ボディ・フルフラットロー2t積(右)と、エルフEV・GVW5t・ハイキャブ・標準ボディ・フルフラットロー1.7t積(左)

 藤沢のいすゞプレミアムクラブで、標準キャブの実車(ホイールベース2500mm・フルフラットロー・平ボディの4ナンバー車)に接すると、やはり目を引くのが新しい顔だ。

 シャープなラインのシグネチャーLEDランプ(車幅灯)、大面積フロントグリルに組み込まれたいすゞ新ブランドアイデンティティ「ワールドクロスフロー」と、その下の開口部で構成された顔は、「タフで華やかな働くクルマ」を目指したもの。確かに今までのいすゞ車とは違った趣きがある。

 4ナンバー登録ニーズも多い標準キャブは、外寸の余裕がないにもかかわらず、室内はドライバー着座時の室内高を22mm拡大して、より多様な体格に対応。

 また、インパネ奥行き寸法を減らしてヒザ回り空間を拡大し、インパネ内部構造も変更して前面衝突時の傷害リスクを低減させた。この限られた空間の地道な進化も、標準キャブの見所だ。

 インパネは、2眼メーターの間に7インチカラーLCDが組み込まれ、ADASの作動や車両コンディションが見やすくなった。

 また、スイッチ類は、小径化した新ステアリングホイール上と、インパネの左右に整然と配置するとともに、運転操作に関わるものをドライバーの近くに寄せ、かつ目的ごとにまとめてレイアウトしている。

■エンジンは同じでもISIMで走りが変貌!

 試乗車は、現在の免許制度でいうと準中型免許以上が必要となる車両総重量5tクラスのISIM車で、装備グレードは「SG」仕様。

 ISIMは2ペダル自動変速式なので、AT車と同じように運転でき、SG仕様には電動パーキングブレーキやアイドリングストップ&スタート機能などを標準装備する。

 荷台に最大積載量の半分となる約1tのウエイトを積み、クルマの重量は約4tに達するが、クリーピングの転がりだしは普通のAT車そのもので、アクセルを軽く踏むと軽快に加速していく。

 しかもISIMは変速時のショックをほぼ感じさせることなく、いつの間にかもう8速までシフトアップしていて、60km/hを超えるところだった。エンジンは従来と同じ3.0L直噴ディーゼルなのに、先代エルフの6速AMTとはまるで違う。

 また、ISIMは次段をプリセレクトしているうえにクロスレシオなので、減速からの再加速もスマート。エルフが実際に出せる速度自体はあまり変わらないと思うが、新型はとても足の速いクルマに感じられる。

■ついに登場したエルフEV

4ナンバー登録に対応する標準キャブ。前後左右高さとも寸法の制約を受けるが、衝突安全性を高めながら、ドライバー着座空間を拡大した。インパネは親しみやすい造形を追求
4ナンバー登録に対応する標準キャブ。前後左右高さとも寸法の制約を受けるが、衝突安全性を高めながら、ドライバー着座空間を拡大した。インパネは親しみやすい造形を追求

 新型エルフの大きな話題がEVラインナップの新設だ。

 シャシーと、電子制御・電装システム構造(E/Eアーキテクチャー)をディーゼル車と共有する「I-MACS」プラットフォームによって、シャシーバリエーションの拡張と架装物への対応がしやすい、という特徴をもつエルフEVだが、現時点では4車型の設定にとどめ、販売もリースのみとなっている。

 EV試乗車は、その4車型の一つとなるハイキャブ・車両総重量5t・バン専用シャシー(ホイールベース2500mm・フルフラットロー)にバンボディを架装。

 高電圧バッテリーは、容量20kWhのリチウムイオン電池を3基搭載する。航続距離は不明だが、120~150kmの間ではないかと推測する。

 ハイキャブとワイドキャブは先代からのキャリーオーバーとなるものの、フロントフェイスとインパネのデザインを一新しており、特に試乗車のハイキャブは新標準キャブとそっくりだ。

 しかしキャブ幅は1770mmと大きく、室内もより広い。1ナンバー(普通貨物車)登録前提かつワイドキャブ(キャブ幅1995mm)よりコンパクト……という先代が生んだイノベーションの一つで、いまではすっかり定着している。

次ページは : ■ディーゼルトラックと違和感ない仕事場

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

トヨタセリカ復活計画、始動!? 新型ホンダフリードの獲れたて新情報も盛りだくさん!【ベストカー6月10日号】

トヨタセリカ復活計画、始動!? 新型ホンダフリードの獲れたて新情報も盛りだくさん!【ベストカー6月10日号】

トヨタ自動車の壮大なるBIGネーム復活計画の第四弾は……なんとトヨタセリカ!? 新型ホンダフリードの注目情報や、レーシングドライバー岩佐歩夢選手の新旧ホンダスポーツカー試乗など、GW明けから全力投球な企画だらけです!