あまりに登場が早すぎた!? ニッポンの「ミニバン」先駆者として輝きを放った初代プレーリー! 海外からの評価も非常に高かったが……

■登場から約3年後にビッグマイチェンを実施

初代プレーリーマイチェン前モデルのリアビュー。マイチェンではリアサイドガラス部が拡大されている
初代プレーリーマイチェン前モデルのリアビュー。マイチェンではリアサイドガラス部が拡大されている

 1985年(昭和60年)1月のマイナーチェンジでは、フェイスリフトを含む134項目の改良を加えたビッグマイナーチェンジモデルを投入。エアダム一体式大型樹脂バンパーを採用し、より現代的な顔付きとなった。

 また、外観上の特徴のひとつとして、リアサイドガラスを大型化し、ルーフ部まで拡大している。同年9月には、初の4WD車を追加。パートタイム4WDは、車内のボタンで切り替えが可能となっており、エンジンも2LのCA20S型を搭載し、性能を向上。

 4WD車はフロントセパレートシートの7人乗り仕様のみで、フロアシフトを採用。トランスミッションでは、乗用4WD車で日本初となるOD付4速ATを採用したことが自慢だった。1988年(昭和63年)9月に2代目へとバトンタッチし、モデルライフを終えた。

■センターピラーレス構造で見通しのよさと抜群の開放感が特徴

初代プレーリーはセンターピラーレス構造を採用しており、ボディ剛性が心配になってしまうほどの見通しのよさだ
初代プレーリーはセンターピラーレス構造を採用しており、ボディ剛性が心配になってしまうほどの見通しのよさだ

 日産ヘリテージコレクションにある展示車は、マイナーチェンジ直前の1984年式「JW-G」で、8人乗り仕様の最上級グレードにあたる。そのボディサイズは全長4090×全幅1655×全高1600mmとコンパクトだが、その背高キャビンを効率よく使い、3列8人乗りを実現している。

 自慢の大開口ドアを左右ともにすべて開くと、驚くほどの見通しのよさだ。ちょっとボディ剛性が心配になるほどで、実際にセンターピラーレス構造による重量増とボディ剛性の低さが指摘され、販売は不振に終わっている。

 しかし、優れた乗降性と抜群の開放感は、とても魅力的に感じる。きっと、ドライブ先でドアを開け放ち、後席に座って景色を楽しんだユーザーもいたことだろう。

 ガラスエリアが広く、ピラーも細いため、運転席からの視界にも優れる。また、ラジオもアナログ式でカセットデッキも備わっている。パワーウィンドウも後付けらしく、ドアトリムにアンバランスなボックスユニットが見られた。

後付けドライブコンピューターのカーメイト製「カートロニクスプレイセンサーCX-20」
後付けドライブコンピューターのカーメイト製「カートロニクスプレイセンサーCX-20」

 ふとダッシュボードに目をやると、不思議な機械が……。調べてみると、カーメイト製「カートロニクスプレイセンサーCX-20」という機種であることが判明。いわゆる後付けのドライブコンピューターだ。かつてのオーナーがドライブ好きだったことを想像させるアイテムだ。

■ミニバン先駆者として評価すべき1台だった

日産ヘリテージコレクションに収蔵されている1984年式初代プレーリーの運転席に座る筆者
日産ヘリテージコレクションに収蔵されている1984年式初代プレーリーの運転席に座る筆者

 日本での商業的な成功こそなかったが、初代プレーリーはそのアイデアが評価され、1987年の「昭和62年度全国発明表彰」で特別賞である「通商産業大臣発明賞」に輝いた。

 さらに、北米や欧州などの展開によって海外からも高い評価を受けており、1982年(昭和57年)にフランス『オートモビル誌』の「イノベーション賞」に、昭和61年にはカナダカーオブザイヤーの「バン・トラック部門賞」を受賞している。

 ミニバンの先駆者として、デザインや機能的なチェレンジを行い、その市場を開拓したプレーリーは、歴代ともに地味な存在で終わったが、日本の自動車史で語り継ぐべき、重要な1台だったといえよう。

【画像ギャラリー】2代目スタンザ&オースターをベースに開発されたミニバン、日産初代プレーリーを写真でCHECK!(13枚)画像ギャラリー

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