同じトヨタのプレミアムSUVであるクラウンスポーツとハリアーだがプラットフォームとパワーユニットまで共通だ。ここまで同じだと乗り味も同じ……? かと思いきや登場から4年目になるハリアーはクラウンスポーツに勝てない部分があったのだ。
※本稿は2024年2月のものです
文/鈴木直也、写真/TOYOTA
初出:『ベストカー』2024年3月10日号
■ここが同門対決のポイント
・両車ともにプレミアムSUVとして存在感をアピール
・プラットフォームは両車ともにGA-Kでベースは共通
・直列4気筒2.5Lハイブリッドのパワートレーンも両車同じ
・ハリアーの牙城に同門のクラウンが敢えて参入する狙いは?
・ハリアーとクラウンスポーツは両立するのか?
■まだまだ4年目のハリアーだが……
最近クルマのモデルチェンジサイクルが長くなっているから、継続して作られているクルマでもそれほど古さを感じないケースが多い。
そういう意味でいえば、ハリアーは2020年デビューでまだ4年目に入ったばかり。人間でいえば働き盛りの人気モデルと言っていい。
しかし、今回の企画「同門対決」用としてデビューしたばかりのクラウンスポーツとハリアーを乗り比べたところ、ちょっと「ウーン……」とウナる違いを感じてしまった。
いや、決定的に何かが違うというわけではないんですよ。そもそも、ともにTNGAアーキテクチャのGA-Kプラットフォームを用いているし、パワートレーンもA25A-FXS型をベースとするハイブリッド。
今回ハリアーはPHEVという違いはあったけれど、両車で使ってる“材料”がそんなに違うというわけではないし。
ところが、直接乗り比べてみると、あらゆる点でクラウンスポーツのほうがフレッシュで新しさを感じるんだよねぇ。
具体的に言うと、パワーフィールでもハンドリングでも、ドライバーの操作に対するリアクションに透明感があって自然。こう操作するとクルマがこう動くという一体感が、クラウンのほうがずっと心地いいわけ。
■乗り比べて分かる「違い」の理由
その理由としては、シャシー8割、パワートレーン2割という感じかな。パワフルな後輪用Eアクスル、DRS(4輪操舵)付きのスポーティな足回り、全体に引き締まったボディ骨格などが効いていると思う。
そして、もうひとつ大きいのが進歩の早い電子プラットフォーム。こればっかりは、2〜3年で大きく進化するケースがあり、ADASやナビがガラッと変わって、旧モデルが古臭く感じてしまう。スマホみたいにアップデートできるといいんだけどねぇ。
■「ここがいい」「ここがイマイチ」
●クラウンスポーツ
クラウンスポーツで多くの人が高く評価するのがそのスタイリング。流麗なクーペSUVデザインは、フェラーリ・プロサングエを真似たとか言われるけど、実はこっちの方が先に出てる。
逆に、そのためにちょっと犠牲になったのが後席の居住性なんだけど、カッコいいんだからそこに文句言っちゃダメだよね。
●ハリアー
日本の交通事情にマッチした都会派SUVというのがハリアーの基本的な立ち位置で、その魅力は今も変わっていない。デザインも走りもそんなにトンがったところがなく、乗り手を選ばず長く付き合えるキャラが持ち味だ。
ただし、そこが良くも悪くもというところで、派手めなスタリイリングやスポーティな走りを好む人には物足りなく感じられる。そういう人はクラウンスポーツがオススメです。
●クラウンスポーツ(スポーツZ・4WD)主要諸元
・全長×全幅×全高:4720×1880×1565mm
・ホイールベース:2770mm
・車量重量:1810kg
・エンジン:直4+モーター
・排気量:2487cc
・エンジン最高出力:186ps/6000rpm
・エンジン最大トルク:22.5kgm/3600-5200rpm
・モーター出力:前120ps/後54ps
・WLTCモード燃費:21.3km/L
・価格:590万円
●ハリアー(PHEV・Z)主要諸元
・全長×全幅×全高:4740×1855×1660mm
・ホイールベース:2690mm
・車量重量:1950kg
・エンジン:直4+モーター
・排気量:2487cc
・エンジン最高出力:177ps/6000rpm
・エンジン最大トルク:22.3kgm/3600rpm
・モーター出力:前182ps/後54ps
・WLTCモード燃費:20.5km/L
・価格:620万円
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