2023年度を見てみると、日本国内のみならず、世界的な視点で見ても好調なセールスを続けているトヨタ。今後はマルチパスウェイ戦略の行方が注目されるが、未来に向けてのトヨタとしては、何がポイントになってくるのだろうか?
※本稿は2024年2月のものです
文/池田直渡、写真/ベストカー編集部、トヨタ
初出:『ベストカー』2024年3月26日号
■マルチパスウェイの効果
トヨタは「もっといいクルマづくり」の収穫期に入った。いいクルマを作れば、台数も売れるし、販売単価も上がる。
ちょっと単純化し過ぎではあるが、メーカーである以上、製品がすべての起点なのは当然だ。
結果ははっきりと出ている。2月6日の第3四半期発表で、トヨタは当期利益見通しを驚異の4兆9000億円と発表した。国内だけでなく、世界を見渡してもバケモノ企業だといえる。
マルチパスウェイを唱えてきたトヨタはこれからBEVの本格リリースを始めるが、BEVは当面利益が厳しい。BEVシフトで先行した各社でまともに利益を出しているメーカーはテスラだけだ。BYDは中国政府の補助金で下駄を履いた数字なので、正味利益はわからない。
当然、トヨタもBEVでは利益が出ないが、にもかかわらず、厳しい競争のなかで巨額の開発費が求められる。そこをカバーするためにトヨタは長い年月をかけて、HEVの利益率を改善してきた。売価そのものもICEより高いにせよ、ついに利益率でICEを超えた。
つまりHEVのほうがICEより儲かるようになった。それでBEVの採算性ダウンを埋め合わせるというのが、トヨタの戦い方である。
水素では商用車を先行して普及させることで、安定的な水素需要を創出し、高速道路網に水素ステーションを作る。乗用車はそれに相乗りしていけばいいので、商用車の水素化の進展によって水素インフラが強化されていく。
いまだに採算がとれない充電ステーションと比べれば、明確なビジョンが最初にある水素のほうが期待ができる。
■エンジンの続投も宣言
一方で豊田会長は新年の東京オートサロンでエンジン開発プロジェクトを発表した。
トヨタにはTHSと組み合わせるダイナミックフォースエンジンがあるが、これはエンジンが主でモーターが従のシステム。モーターが主になる充電専用エンジンには求められる性能もコストも違う。
おそらくトヨタは充電専用の新しいユニットを開発してくるだろう。これはe-FUELをはじめとする合成燃料を効率的に使うことを念頭に置いて設計されると思われる。
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