カーボンニュートラルに脱炭素、EVシフトが顕著になった昨今、その言葉を聞かない日はない位に我々の生活に深く根付いている。その中でも特に「カーボンニュートラル燃料」が未来のエネルギーとして注目を集めているので、今回皆さんと一緒に追ってみよう。
文/西川昇吾、写真:TOYOTA
■燃焼時にはCO2が発生するが……
実はカーボンニュートラル燃料を燃焼するとCO2を排出する。「えぇっ?それってカーボンニュートラルって言えるの?」という疑問があるかもしれないが、これにはしっかりとした理論があるのだ。
カーボンニュートラル燃料の原材料は光合成によってCO2を吸収して育った植物や、CO2そのものを原材料として使用している。
このような原材料を使った燃料ならば、燃焼でCO2が発生しても吸収したCO2で相殺されるため、総合的に見ればCO2は排出されていない。
生産から使用までの一連の過程の中で、輩出したCO2と吸収したCO2の量が同じなので、CO2は増えていない。というのがカーボンニュートラル燃料の理論だ。
■カーボンニュートラル燃料のメカニズム
カーボンニュートラル燃料とされている燃料はいくつか種類があったりするが、代表的な例として挙げられるのが、合成燃料とバイオマス燃料の2つだ。まず分かりやすいのがバイオマス燃料だ。
光合成でCO2を吸収する動植物由来の原料から生成される燃料で、エタノールを生成するサトウキビやトウモロコシ、油脂をエステル化によって生成するなたね油や大豆油、生物ガスによって生成するものなどバイオマス燃料の中でもいくつか種類がある。
そしてもう一つが合成燃料だ。合成燃料はCO2と水素を合成して製造される燃料だ。
原材料となるCO2は発電所や工場などから排出されたものを利用している。合成燃料は人工的な原油とも言われている。
■開発中の技術にも注目だ
カーボンニュートラルへの1つのアプローチとされているカーボンニュートラル燃料だが、その研究開発はまだこれからといった部分もある。
その中で注目されているのがDACと呼ばれる技術だ。ダイレクト・エア・キャプチャの略で、日本語では直接空気回収技術と訳される。
大気から直接CO2を分離、回収することを目的としていて、これが実用化すれば合成燃料の生産コストを抑えることに繋がる。
カーボンニュートラルには様々なアプローチがあるが、カーボンニュートラル燃料を使用したエンジンに変更するというアプローチは、他のパワーユニットに比べて変更点が少ない。
そのため既存の技術を生かしやすく、現実性が高いというのが他にはないメリットと言える。
現在スーパー耐久というモータースポーツの現場での研究開発も行われているが、今後の展開にも注目したいところだ。
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