■スポーツモデルだけじゃない! 小型BEVも意外に高トルク!?
高出力モーター&バッテリーを搭載したBEVはパワフルになる。それでも以前のBEVはパワーやトルクの点でガソリンエンジン車に一歩譲るイメージがあった。だが、近年では電動モーターやバッテリーの進歩によってBEVの出力も著しい向上をみせている。
そこで注目したいのが日産製軽BEVのサクラだ。サクラは車体サイズが国内軽自動車規格であり、最大出力は64psに規制されている。しかし、トルクを確認してみると、なんと195Nmもある。
この数値だけではピンとこないかもしれないが、同じ日産製軽自動車デイズの最大トルクがターボエンジンモデルでも100Nmであることを考えると、驚きの数値であることがわかるはずだ。
これはサクラが抜群の加速力を誇ることを意味する。もちろん、サクラの使用目的を考えるとそこまで過激な加速特性には味付けされていないが、実際に同車をドライブした人によると、信号待ちからの発進などでほかの軽自動車との違いを明確に感じられるという。
さらにスポーティなBEVに目を向けると、そこには文字どおりの“トルク番長”がうようよ存在する。次の項では世界のBEVトルク番長を見ていくことにしよう。
■もはや非力とはいわせない! トルクお化けのBEVたち
最後は特にトルクの太いBEV3車種を紹介する。個々の最大トルクは本文を参照してもらいたいが、参考までにガソリンエンジン車のポルシェ 911GT3(4L自然吸気エンジン)の最大トルクを調べると、470Nm/6100rpmというデータが得られた。
■BMW iX M60
ドイツのBMWが2021年に発売したBEVのiX M60。まずはBMWの象徴でもあるキドニーグリルの迫力に圧倒されてしまうが、その外観に恥じない大トルクを発生する。
iX M60には複数の電動モーターが搭載され、トータルトルクは1015Nm! 最高出力も610psとガソリンエンジン車にひけはとらない。
ちなみにガソリンエンジンモデルではラジエターの空気取り入れ口にもなるキドニーグリルだが、BEVのiX M60ではただのパネルなのはご愛敬か。
■ポルシェタイカンターボS
BMWと同じドイツのポルシェも負けていない。
同社の4ドアBEV・タイカンはシリーズのどのモデルもハイパワーを誇るが、圧巻なのが最上級グレードのタイカンターボSだ。
モーター、バッテリー、制御プログラムなどが従来モデルより改良されたターボSの最大トルクは1050NmとiX M60をも凌ぐすさまじさ。最高出力も952psと高く、0~100Km/hまでたった2.4秒しかかからない。
なお、車名に「ターボ」がついているが、これは内燃機関のターボチャージャーとはまったく異なるシステムだ。パワフルなことをイメージさせる名称としてターボが与えられている。
■テスラ モデルS
BEVといえばアメリカのテスラを欠かすことはできない。BEVに特化した自動車メーカーのテスラからは、やはりパワフルなスポーツモデルがリリースされている。
同車のスポーツカー・モデルSのパワーユニットは最大トルク931Nmを発生する。1000psにはわずかに届かないが、これが途方もない数字なのは言うまでもない。最高速度を出すことが難しい公道走行においては、出力よりもトルクのほうが重要という意見も多い。その点において、BEVのトルクは充分合格点にあるといえるだろう。
環境負荷を減らすことを目的に開発されたBEVなのにもかかわらず、本来の要求よりも大トルクのモデルが多いのは、クルマに力強さを求めるユーザーが少なくないことの証明になる。
【画像ギャラリー】BEVをみくびるな!! 走って楽しいトルク番長をチェック!!(12枚)画像ギャラリー
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