スズキ「ハスラー」が売れている。2024年2月の軽自動車の販売台数は、1位のホンダ「N-BOX」(16542台)、2位のスズキ「スペーシア」(15066台)に続いて、3位に「ハスラー」(8990台)がランクインした。この結果には、ダイハツの不祥事による生産停止も関係しているが、スズキの看板車種であるワゴンRやアルトを抑えての3位入賞は驚異的なことだと思う。なぜハスラーはここまでヒットしているのだろうか。
文:吉川賢一
写真:SUZUKI
スズキの「読み」がピタリとハマって大ヒット
2013年の東京モーターショーで初披露され、初代モデルが2014年1月より発売開始となったスズキ「ハスラー」。ベースとなっているのは、同社の売れ筋軽トールワゴン「ワゴンR」だ。そこに丸型ヘッドランプ、大径タイヤ、高い車高などのクロスオーバーSUVの要素を融合させ、ハスラーは誕生した。
かつてスズキには、「Kei」というクロスオーバーSUV風のハイトワゴンが存在した。残念ながら2009年に生産終了となったが、スズキは乗用車感覚の軽クロスオーバーSUVの潜在的な需要はあるとして、ハスラーの企画を検討開始。ジムニーのような本格的なクロカンSUVではなく、ライトなSUVユーザーを想定して開発したことが、市場の需要とピッタリとハマり、初代ハスラーは大ヒット。発売前から事前予約が殺到し、一時は生産が追い付かないほどの人気ぶりだった。
現行モデルはその2代目。ほぼキープコンセプトで、2020年1月より発売開始となった。初代よりもホイールベースを35mm延長したことで室内空間はさらに広く使いやすくなり、丸目はそのままキープしながらより可愛らしくなったエクステリアデザイン、豊富なボディカラー、明るく使い勝手のよいインテリアなど、多くの改良が施された。Aピラーが立っていることで前方の見晴らしがよくて運転もしやすく、初心者にも適した軽SUVとして評価も高い。車両価格は税込136万円~181万円だ。
ライバルのタフトは、やんちゃを好むような若者に人気
このハスラーの最大のライバルといえば、ダイハツの「タフト」だろう。タフトもまた、「日常生活からレジャーまでアクティブに使える新感覚の軽クロスオーバーSUV」をコンセプトとしており、オフロード風デザインのオンロードSUVだ。
タフトをじっと見ていると、なんとなく「HUMMER H2」や「H3」が思い起こされるのは、筆者だけではないだろう。ボディの大きさは全然違うが、極端に角ばったデザインや、大きく張り出した前後フェンダー、垂直に立ち上がったフロントウィンドウ、サイドウインドウの天地高の狭さ、そしてタフトの特徴である大きなガラスルーフなど、まさに軽サイズにしたHUMMERだ。ハスラーの丸みを帯びた愛嬌あるデザインとは異なり、やんちゃを好むような若者にも人気が出ているという。
なお2023年年間の2台の販売台数は、ハスラーが82720台(軽ジャンルで総合5位)、タフトが52885台(総合10位)と、ハスラーが勝った。タフトは現在、諸事情により製造停止中(3月初旬時点)だが、よきライバルとして今後もバトルを繰り広げていくことだろう。
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