ついにマイナス金利が解除! このままだと銀行のマイカーローンが上がるかも……実は知らない銀行金利の秘密

ついにマイナス金利が解除! このままだと銀行のマイカーローンが上がるかも……実は知らない銀行金利の秘密

 長く続いた「マイナス金利」がついに終わりを告げた。これにより影響を受ける物の1つにマイカーローンがある。ご存じの通り、マイカーローンとはクルマを購入する時に多くの人が銀行からお金を借りる行為を指すのだが、今回の一件でその金利が上がるのではないかと言われている。

文/佐々木 亘、写真:Adobe Stock(トップ画像=oben901@Adobe Stock)

■マイナス金利政策を解除すると何が起こる?

こう聞くと素晴らしい制度に感じるが?(oben901@Adobe Stock)
こう聞くと素晴らしい制度に感じるが?(oben901@Adobe Stock)

 日本銀行が長らく行ってきたマイナス金利政策。これは中央銀行がデフレ対策のために行う金融緩和政策の一つだ。

 「銀行の銀行」と言われる日本銀行には、市中銀行(世の中にある私たちが利用する銀行)がお金を預ける当座預金がある。ここに預けたお金に対して、マイナス金利を課すのが、この政策の肝だ。

 通常、銀行にお金を預ければ、利息が増えて戻ってくる。しかし、マイナス金利政策下の日銀当座預金では、市中銀行がお金を預けると、市中銀行が日銀に対して金利を払わなければならない状態になっていた。

 銀行にお金を預けているのに、手数料(金利)を支払うという、一般の世の中では考えられないことが起きていたというわけ。

 すると市中銀行は、日銀にお金を預けることを控え、余剰資金を投資や融資へ回すようになる。これにより、世の中へお金が回っていくというのがマイナス金利政策の考え方。

 銀行は、余った資金を銀行利用者に借りてほしい立場になる。したがって、貸出金利を引き下げ、ローンの利用を促すようになるのだ。

■銀行がすぐにローン金利を引き上げることは無い?

 マイナス金利が解除されると、すぐに銀行ローンの金利が上がることにつながるのか。答えはNOだ。さらに付け加えると、ほとんどの銀行が住宅ローンやマイカーローンの金利を引き上げるのには、慎重になると考えられる。

 現在、多くの金融機関は短期プライムレート(短プラ)と呼ばれるレートを基準に、住宅ローンやマイカーローンの金利を設定している。短プラは、銀行が最優良企業に貸し出す際の最優遇貸出金利(プライムレート)の中で、1年以内の短期貸出の金利を指すものだ。

 かつては公定歩合と連動して決まっていたが、1989年以降は金融の自由化によって短プラ数値の決定は各金融機関に委ねてある。

 つまり、日銀がマイナス金利を解除し、政策金利を上昇させるのと、短プラの動きは直接連動しないということだ。

 政策金利の上昇が、短期プライムレートに与える影響は少なからずあるものの、銀行がユーザーに対して、お金を積極的に借りてほしいというスタンスがすぐには変わるわけではない。

 金融機関独自に決められるレートなだけに、他行が短プラを低い水準で維持している中、1行だけが政策金利の上昇を理由に短プラを上昇させることを決めれば、その銀行からユーザーが遠のくだけだ。

 今回の政策金利の上昇で、短期プライムレートにも小幅な動きが出ることはあると思うが、実際に数値にすれば0.1%か0.2%程度だろう。今しばらくは、お金を借りやすい状況は続くと考えられる。

■信販会社やディーラークレジットも動向を静観

今後クルマを買うときは注意が必要だ(JD8@Adobe Stock)
今後クルマを買うときは注意が必要だ(JD8@Adobe Stock)

 現在、およそ2%後半から4%弱で展開されている自動車ディーラーのクレジットも、突然金利が上がることは考えにくい。

 特に銀行と違って、ディーラーのクレジットの金利は、自社の自動車販売台数にリンクするものだからこそ、さらに金利は上げにくくなる。

 こちらも周りの状況を見ながら、少しずつ上昇傾向に持っていくというのが、現実的な方法だろう。

 自動車ローンやディーラーのクレジットを利用しやすい状況は、もうしばらく続くはずだ。

 現在ローンを利用している人も、これからローンを利用しようとしている人も、まずは安心して購入とローンの申し込みをしてもらいたい。

 日銀が行ったマイナス金利を解除は、大企業の賃上げを背景にしている。

 今後、中小零細まで、しっかりとした賃上げが行われ、日本経済全体が上向きになった時に、ローン金利の上昇が始まるはずだが、まだその状況にはなっていない。

 マイナス金利は解除されても、金融緩和は行われている状況。これが金融引き締めという言葉に変わる時、金利の上昇にも気を付けなければならない。小難しい話だが、経済動向にも少し注目しておくと、カーライフがより易しくなるはずだ。

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