【等級下がるなら自分で直したほうがマシ??】車両保険の仕組みと事故の種類

等級による較差は大きい

 自動車保険にはもうひとつ、大切な保険料率である「ノンフリート等級」が存在します。これも公平な保険料負担を行うためのもので、保険契約者の事故歴や無事故年数などに応じてリスクに差が見られるため保険料率を1~20等級に区分しています。

 1等級は事故リスクが高いとされ保険料も高く、20等級は事故リスクが低いとされ保険料が安価です。等級が1つ上がることで割引率が大きくなるという考え方です。

 1等級と20等級では較差は4.43倍(損害保険料率算出機構)あるとされ、さらに7等級以上では過去に事故あり/事故なしで較差は20等級の場合で1.51倍になると算出されています。

GT-Rのような1000万円を超える高額車両の場合、等級の差によって年間に支払う保険料はものすごく違う。等級を下げてから買うのが得策といえる

 つまり、同じ20等級であったとしても無事故で到達した場合は事故リスクが低いと判断され保険料も安く設定されます(事故有係数適用期間の考え方)。

 新規の保険契約では1~20等級のうち6等級からスタートします。ただし、複数所有の場合は2台目以降の自動車の契約で所定の条件を満たす場合に限って7等級からのスタートです。

 こうした前提の上で成り立っているノンフリート等級ですが、翌年の等級決定は前年の事故有無によって決まります。例えば17等級のドライバーが運転する車両が事故に遭遇し、保険料を受け取った場合には、その翌年の等級は3等級下がって14等級になります。

 逆に17等級のドライバーが運転する車両が1年間無事故であった場合には、その翌年の等級は18等級になります。これに前述の事故有係数適用期間の考え方をあてはめ、翌年の保険料が算出されます。

注意すべきは1等級ダウン事故

 ただし、ノンフリート等級には3等級下がる「3等級ダウン事故」のほかにも、1等級下がる「1等級ダウン事故」、等級が下がらない「ノーカウント事故」に分類されます。

 3等級ダウン事故は、事故の相手方に対人賠償保険金や対物賠償保険金が支払われた、または車両保険金などが該当します。いわゆる相手方や物損がある事故で支払われる保険金を受け取った場合がこの3等級ダウン事故です。

事故の形態などにより等級の下がり方は違うが、物損がある場合、相手への支払が生じる場合に保険を使った場合は3等級下がる

 1等級ダウン事故として遭遇しやすいのが、飛来中または落下中の他物との衝突と呼ばれている、いわゆる「飛び石事故」です。飛び石事故は、2012年10月の自動車保険に関する制度改正に端を発し2015年4月以降は1等級ダウン事故にカウントされます。

 等級ダウンを嫌って自費でウィンドウ修理や交換をされる方も多いと聞きますが、昨今ではフロントウィンドウ部分に先進運転支援システム(ADAS)の光学式カメラが装着されている場合が見受けられ、その場合はフロントウィンドウ交換後に光学式カメラのエーミング(正しく機能するか確認する作業)が必要です。

 よって、交換作業だけでなくエーミングが行える修理工場に依頼する必要があります。また、国土交通省でもエーミングを今後の課題として認識しています。

 ノーカウント事故には、人身傷害保険金、無保険車傷害保険金、ファミリーバイク特約事故、弁護士費用特約事、日常生活賠償特約が含まれます。(編集部注/人身事故、無保険車との事故、ファミリーバイク特約を付帯している時の125cc以下のミニバイクでの事故によって保険金が支払われた時、弁護士を雇った場合の費用を保険でまかなった時、被保険者の日常生活が起因する偶発的な事故によって保険金が支払われた場合などは、保険金は支払われていますが、ノーカウント事故として扱われます)。

飛び石によるウィンドウの破損事故は2015年4月以降はノーカウント事故から1等級ダウン事故に変更。単純に交換するだけではダメで、カメラなどが正常に作動するかをチェックするエーミングなどが必要になり修理費が高くなったことも一因

 いずれにしろ自動車保険は公平な保険料負担の考え方から成り立っています。注意すべきは1等級ダウン事故です。

 事故有係数適用期間との関係もあるため、保険金を受け取った際の翌年の保険料の割引率については、事故なし/事故ありによって大きな違いが設けられていますので、加入している保険代理店に詳細を確認しておくといいでしょう。

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 3等級ダウンの事故を起こし、保険を使った場合、実際にどのくらい保険料が高くなるのかを編集部でシミュレートしてみました。

 これまでまったく事故を起こさずに20等級になったAさん、Bさんの2人を例に考えます。車種も同じ、任意保険の条件、特約なども同じとして保険料は計算しやすいように割引なしの状態が10万円とします。

■Aさん(事故なし)■Bさん(3等級ダウンの事故で保険を使用)

 20等級から17等級にダウンする事故を起こした場合と無事故の場合のそれぞれについて4年間の支払額を計算してみます。

【Aさんの保険料】              
1年目:37000円(無事故63%割引)    
2年目:37000円(無事故63%割引)    
3年目:37000円(無事故63%割引)    
4年目:37000円(無事故63%割引)    
Aさんの4年間の支払総額14万8000円

【Bさんの保険料】
1年目: 62000円(事故あり38%割引)
2年目: 60000円(事故あり40%割引)
3年目: 58000円(事故あり42%割引)
4年目: 37000円(無事故63%割引)
Bさんの4年間の支払総額21万7000円

 ざっくりとしたシミュレーションですが、2人の差額は6万9000円にまでなります。翌年割引率が下がり保険料が高くなるだけでなく、事故あり割引は3年間適用され、4年目からは無事故割引となることに注意しましょう。

 今回は20等級→17等級でシミュレートしましたが、等級が下になるほど差額が大きくなります。ただし、これは一例で保険会社によって違いますので要確認。

 今回の試算結果は、等級変化による割引率のみをわかりやすく解説するために示したイメージです。実際には主契約や特約の内容、年次ごとの諸条件変化、保険制度の改正など複数の要因が考えられることから、必ずしも試算結果の差額になるとは限らず、試算結果とは大幅に金額が変わる可能性があります。

 従いまして、ご自身の保険料については加入されている保険会社のご担当者にご確認ください。

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