【等級下がるなら自分で直したほうがマシ??】車両保険の仕組みと事故の種類

 クルマの保険には加入が義務付けられている自賠責保険と強制ではない任意保険がある。しかしこの任意保険は重要だとわかっていてもシステムが複雑で正確に理解している人は少ないのではないだろうか。

 料率とは? 料率区分とは? 等級とは? などなどわからないことだらけ。

 さらに事故をして保険を使うと基本的に等級は下がるが、事故ケースによって違うという。任意保険について交通コメンテーターの西村直人氏がわかりやすく解説。

文:西村直人/写真: NISSAN、SUBARU、平野学、ベストカー編集部、Adobe Stock


保険料率が支払う保険料に関係

 現在、日本には約8100万台の車両が保有されていますが、いったいどの程度の車両が自動車保険に加入しているのでしょうか?

 一般社団法人日本損害保険協会によると、そのうち、74.6%にあたる約6000万台が対人賠償保険に加入しています。対物賠償保険も同水準で加入率は74.7%(約6000万台)です。

車両保険については超高額車、クラシックカー以外でも初年度登録から20年以上経過しているクルマの場合加入を断られるケースもある

 いわゆる対人保険/対物保険がセットで加入される率が高いということがわかります。また、人身傷害保険は、69.3%(約5600万台)と対人/対物と同じく高い加入率です。

 これが搭乗者傷害保険となると26.7%(約2100万台)と一気に加入率が低下し、車両保険も44.4%(約3600万台)と半数を割っています。

 自動車保険で注目すべきポイントはいくつかありますが、そのうち保険料率は我々が支払う保険料に関係します。ここでの保険料率とは、クルマ1台あたりの保険料をさします。

 この保険料率は、事故発生時に保険会社が支払う保険料に該当する「純保険料率」と、保険会社が保険事業を行うためにかかる経費に該当する「付加保険料率」に分けられています。

 この保険料率は補償する保険内容ごとに決められいてます。その対象は、対人賠償保険、対物賠償保険、人身傷害保険、搭乗者保険、車両保険、自損事故保険、無保険車傷害保険です。

全体責任の任意保険ゆえ自分が事故を起こしていなくても保険料は上がった経験をお持ちの方もいるはず。プリウスのように台数が多いと事故件数は確実に増えるが、料率の変動は加入者の保険料の合計と事故によって支払われた保険金によって決まるので一概に上がるとは言えない

保険料を公平にするための料率区分

 この保険料率には料率区分が設けられています。この料率区分は、保険契約者が支払う保険料ついて、自動車の車種、ドライバー年齢、過去の事故などが考慮され、それに応じて事故発生リスクに応じた保険料、つまり公平な保険料とするために用いられています。また、ここでの保険料率は保険会社によって異なっています。

 料率区分を細かく見ていくと、昨今の自動車販売状況に即した項目が見られます。それが自動車の安全性能として明文化されている「衝突被害軽減ブレーキの装着有無」という項目です。

衝突被害軽減ブレーキが装着されたクルマはないクルマに比べて事故のリスクが少ないため保険加入時にプラス要素となるが、それは発売後3年までと限定的となっている。画像はスバルのアイサイトの作動イメージ

 損害保険料率算出機構によると、自家用普通・小型乗用車と軽四輪乗用車について、衝突被害軽減ブレーキが装着されている車両は、非装着の車両と比べて事故のリスクが低いという判断を行っています。具体的なその違いは較差で1.10倍であると示されています。

 ただし、発売後約3年が経過した自家用普通・小型乗用車の場合は、保険データが3年間で蓄積されたという判断がなされ、衝突被害軽減ブレーキの装着有無は料率区分に影響を与えません。

 いっぽう、軽四輪乗用車については、2020年1月1日から自家用普通・小型乗用車と同じ型式別料率クラスが適応されるため、それまで(2019年いっぱい)は、発売時期からの日数をかかわらず衝突被害軽減ブレーキの装着有無によってのみ料率区分を行っています。

自家用乗用車は型式別料率クラスがあるのに対し軽自動車はないため条件が同じなら車種による保険料の差は出ないが、2020年1月から型式別料率クラスを導入

等級による較差は大きい

 自動車保険にはもうひとつ、大切な保険料率である「ノンフリート等級」が存在します。これも公平な保険料負担を行うためのもので、保険契約者の事故歴や無事故年数などに応じてリスクに差が見られるため保険料率を1~20等級に区分しています。

 1等級は事故リスクが高いとされ保険料も高く、20等級は事故リスクが低いとされ保険料が安価です。等級が1つ上がることで割引率が大きくなるという考え方です。

 1等級と20等級では較差は4.43倍(損害保険料率算出機構)あるとされ、さらに7等級以上では過去に事故あり/事故なしで較差は20等級の場合で1.51倍になると算出されています。

GT-Rのような1000万円を超える高額車両の場合、等級の差によって年間に支払う保険料はものすごく違う。等級を下げてから買うのが得策といえる

 つまり、同じ20等級であったとしても無事故で到達した場合は事故リスクが低いと判断され保険料も安く設定されます(事故有係数適用期間の考え方)。

 新規の保険契約では1~20等級のうち6等級からスタートします。ただし、複数所有の場合は2台目以降の自動車の契約で所定の条件を満たす場合に限って7等級からのスタートです。

 こうした前提の上で成り立っているノンフリート等級ですが、翌年の等級決定は前年の事故有無によって決まります。例えば17等級のドライバーが運転する車両が事故に遭遇し、保険料を受け取った場合には、その翌年の等級は3等級下がって14等級になります。

 逆に17等級のドライバーが運転する車両が1年間無事故であった場合には、その翌年の等級は18等級になります。これに前述の事故有係数適用期間の考え方をあてはめ、翌年の保険料が算出されます。

注意すべきは1等級ダウン事故

 ただし、ノンフリート等級には3等級下がる「3等級ダウン事故」のほかにも、1等級下がる「1等級ダウン事故」、等級が下がらない「ノーカウント事故」に分類されます。

 3等級ダウン事故は、事故の相手方に対人賠償保険金や対物賠償保険金が支払われた、または車両保険金などが該当します。いわゆる相手方や物損がある事故で支払われる保険金を受け取った場合がこの3等級ダウン事故です。

事故の形態などにより等級の下がり方は違うが、物損がある場合、相手への支払が生じる場合に保険を使った場合は3等級下がる

 1等級ダウン事故として遭遇しやすいのが、飛来中または落下中の他物との衝突と呼ばれている、いわゆる「飛び石事故」です。飛び石事故は、2012年10月の自動車保険に関する制度改正に端を発し2015年4月以降は1等級ダウン事故にカウントされます。

 等級ダウンを嫌って自費でウィンドウ修理や交換をされる方も多いと聞きますが、昨今ではフロントウィンドウ部分に先進運転支援システム(ADAS)の光学式カメラが装着されている場合が見受けられ、その場合はフロントウィンドウ交換後に光学式カメラのエーミング(正しく機能するか確認する作業)が必要です。

 よって、交換作業だけでなくエーミングが行える修理工場に依頼する必要があります。また、国土交通省でもエーミングを今後の課題として認識しています。

 ノーカウント事故には、人身傷害保険金、無保険車傷害保険金、ファミリーバイク特約事故、弁護士費用特約事、日常生活賠償特約が含まれます。(編集部注/人身事故、無保険車との事故、ファミリーバイク特約を付帯している時の125cc以下のミニバイクでの事故によって保険金が支払われた時、弁護士を雇った場合の費用を保険でまかなった時、被保険者の日常生活が起因する偶発的な事故によって保険金が支払われた場合などは、保険金は支払われていますが、ノーカウント事故として扱われます)。

飛び石によるウィンドウの破損事故は2015年4月以降はノーカウント事故から1等級ダウン事故に変更。単純に交換するだけではダメで、カメラなどが正常に作動するかをチェックするエーミングなどが必要になり修理費が高くなったことも一因

 いずれにしろ自動車保険は公平な保険料負担の考え方から成り立っています。注意すべきは1等級ダウン事故です。

 事故有係数適用期間との関係もあるため、保険金を受け取った際の翌年の保険料の割引率については、事故なし/事故ありによって大きな違いが設けられていますので、加入している保険代理店に詳細を確認しておくといいでしょう。

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 3等級ダウンの事故を起こし、保険を使った場合、実際にどのくらい保険料が高くなるのかを編集部でシミュレートしてみました。

 これまでまったく事故を起こさずに20等級になったAさん、Bさんの2人を例に考えます。車種も同じ、任意保険の条件、特約なども同じとして保険料は計算しやすいように割引なしの状態が10万円とします。

■Aさん(事故なし)■Bさん(3等級ダウンの事故で保険を使用)

 20等級から17等級にダウンする事故を起こした場合と無事故の場合のそれぞれについて4年間の支払額を計算してみます。

【Aさんの保険料】              
1年目:37000円(無事故63%割引)    
2年目:37000円(無事故63%割引)    
3年目:37000円(無事故63%割引)    
4年目:37000円(無事故63%割引)    
Aさんの4年間の支払総額14万8000円

【Bさんの保険料】
1年目: 62000円(事故あり38%割引)
2年目: 60000円(事故あり40%割引)
3年目: 58000円(事故あり42%割引)
4年目: 37000円(無事故63%割引)
Bさんの4年間の支払総額21万7000円

 ざっくりとしたシミュレーションですが、2人の差額は6万9000円にまでなります。翌年割引率が下がり保険料が高くなるだけでなく、事故あり割引は3年間適用され、4年目からは無事故割引となることに注意しましょう。

 今回は20等級→17等級でシミュレートしましたが、等級が下になるほど差額が大きくなります。ただし、これは一例で保険会社によって違いますので要確認。

 今回の試算結果は、等級変化による割引率のみをわかりやすく解説するために示したイメージです。実際には主契約や特約の内容、年次ごとの諸条件変化、保険制度の改正など複数の要因が考えられることから、必ずしも試算結果の差額になるとは限らず、試算結果とは大幅に金額が変わる可能性があります。

 従いまして、ご自身の保険料については加入されている保険会社のご担当者にご確認ください。

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