ヴィッツ、プリウス、ワゴンRたち「国民車」の30年とその行方


【IV期 01】 国民の心をつかむ、軽スーパーハイトワゴンの登場

 乗る、積む、移動する…ことへのニーズがより強くなったのがここ数年の流れだろう。ゆえに“コスパ重視”型のモデルが売れに売れる。

 その源流は何かというと、2003年登場の初代タントだろう。

●小さいけど大きな軽の誕生│ダイハツ 初代タント(2003~2007年)

衝撃を放った軽自動車規格を目いっぱい使ったモデル。軽の「スーパーハイトワゴン」の誕生である

 全高1700mmを超えるこのモデルの登場は、「こんなノッポな軽が売れるの?」という声を含めて衝撃的だった。

 車内はムーヴより大幅に広いが、価格は同等の装備を持ったグレード同士で比べて、タントは約15万円高い(現行モデルより割高感がある)。

 それでも初代タントが大ヒットしたのは、とてつもなく広い軽自動車に新しい価値が芽生えたからだろう。

 タントなどのスーパーハイトワゴン・カテゴリーの人気を決定づけたのは、2011年誕生のN-BOX

●今もバカ売れの系譜がここに│ホンダ 初代N-BOX(2011~2017年)

軽規格でミニバンを作ろう…というコンセプトで登場。ガラスエリアを小さくしたデザインにも力を入れている

 エンジン配置を縦長に設計して室内長を伸ばし、燃料タンクを前席下に搭載し、軽自動車最大の室内空間を実現。この工夫と質感の高さは現行モデルにもつながり、No.1ヒットを続ける。

 大人気カテゴリーになると、互いに切磋琢磨し、魅力あるモデルが次々生まれる好循環となっていく。スズキからはスペーシアが登場し、現行モデルはライバルN-BOXを意識。

 標準ボディの買い得グレードを140万~150万円に集中させ、マイルドハイブリッドを装着したスペーシアはJC08モード燃費が28.2km/Lと、その魅力をアピールしている。

●ノッポな定番車、ここにも│スズキ 2代目スペーシア(2017年~)

前述の初代タントが築いた軽スーパーハイトワゴン軍団の一翼を担い、今や国民の定番モデルに……

 さらに、7月9日には新型タントが登場したばかり。ライバル同士、鎬を削るなかで、軽スーパーハイトワゴンのモデルたちは今後も国民車の地位を築いていくはずだ。

■【IV期 02】 「コスパ重視」の新感覚モデルたちの台頭

 そのいっぽうで新感覚モデルが台頭するのもここ数年の動き。今や日産の稼ぎ頭、ノートe-POWERがそれだ。エンジンとモーターの新たなアイデアが受け、現在でも登録車月販台数のトップ争いをしている。

●新感覚が日本人に大ウケ│日産 ノートe-POWER(2016年~)

2代目ノートに新発想のe-POWERを設定。これが当たり、2018年は販売台数1位に

 価格はe-POWER Xが200万円少々だからアクアよりも高いが、滑らかで楽しい運転感覚を考えるとお買い得に思える。

 そして、この先の国民車候補として“伏兵”が現れる。トヨタのタンク/ルーミースズキソリオなどの背の高いコンパクトカーだ。

●国民車のニューフェイス│トヨタ タンク/ルーミー(2016年~)

小さくて広くて荷物を積める。「これで充分じゃないか」という感覚で、国民車への道を突っ走る

 自転車など大きなものを軽く飲み込む荷室も自慢で、タンク/ルーミーがこれほど売れるとは当初、想像できなかった。

 プラットフォームやエンジンはパッソと共通だからコストダウンが図られ、実用性が高い割に価格は安い。これも人気の理由で、“コスパ重視”の国民車の典型ともいえそうだ。

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