ヴィッツ、プリウス、ワゴンRたち「国民車」の30年とその行方


【III期 03】 「お買い得感」こそが国民車を形成する ── フィットの登場

 その初代ヴィッツを恐れさせたのが、前出の初代フィットだ。その商品力の高さには目を見張るものがあり、一番のウリは燃料タンクを前席の下に搭載した空間効率の高さ。

●国内販売1位を33年間守ったカローラに代わりトップに│ホンダ 初代フィット(2001~2007年)

「新時代コンパクトカーが国民車へ」。それを決定づけたモデル。「ホンダMM」思想が息づき、コンパクトながら室内は広々。割安な価格設定もあり大ヒット。2002年には33年間国内販売1位だったカローラを抜いて1位に

 全長は4m以下で、全高も立体駐車場を使える低さなのに大人4名が快適に乗車できる。おまけに後席を畳むと大容量の荷室が現われる。「このクルマでいいじゃないか」と誰もが思う満足感があった。

 その初代フィットのエンジン、発売時点では1.3Lのみだが、最大トルクが2800回転で発揮され、実用域の駆動力が高いのも人気の理由だった。

 また10.15モード燃費も23km/L。当時は1Lエンジンのマーチが18km/Lだったから、フィットの燃費の高効率が注目されていた。

 そして、価格は売れ筋の「A」が114万5000円と安く、複数のライバルが一斉に同価格の買い得グレードを設けたほど。この時のフィットは3グレードだが、2002年に国内販売の1位に登りつめ、国民車へと認知されていく。

【III期 04】 3代目プリウスが起こしたハイブリッド現象

 ハイブリッドに新価値を求め始めた日本人……。大きな契機となったのが2代目プリウスだ。

●THS-IIを初搭載。日本人に“ハイブリッド信仰”が浸透していく│トヨタ 2代目プリウス(2003~2011年)

現在のトヨタのハイブリッドモデルに採用されているシステム「THS-II」、これが初搭載されたモデル。その心臓部の進化で初代から飛躍的にクルマの出来が変わり、ヒットモデルになった。ハッチバックのスタイルも評判だった

 3BOXから空力特性に優れた5ドアハッチバックに発展して、THS-IIを初搭載。このシステムが優秀で、10.15モード燃費35.5km/Lと驚く数値を打ち出していた。

 そして、ハイブリッドに新価値というニーズを決定づけたのが2009年登場の3代目プリウス。1.8Lエンジンをベースにした新ハイブリッドを搭載して、動力性能と実用燃費を向上させた。

●ハイブリッド現象で市民権を得る│トヨタ 3代目プリウス(2009~2015年)

“プリウス現象”の決定版となった3代目。10カ月の納車待ちも

 この3代目から販売系列を全店扱いにしたこともあり、売れゆきが急増。月販目標は1万台だったが、翌年には1カ月平均で2万6000台以上の大ヒット。納期が最長10カ月という“プリウス現象”まで起きた。

 2010年頃はまさに「ハイブリッド国民車」という状況だったが、より小さく手ごろ価格のアクアの登場は(2011年)、その状況を後押しした。売れ始めたアクアが、2013~2015年は登録車販売1位となったのがその証といえよう。

●エコ&好燃費カローラに代わる国民車へ│トヨタ アクア(2011年~)

割安なハイブリッドということでプリウス同様に日本人に受け入れられた。8年経った今でも大人気

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