現在販売中の現行型クラウンは、クロスオーバーからスタートし、スポーツ、セダン、エステートとさまざまなボディタイプがラインナップされた。中には「こんなのクラウンじゃない」という声もあるようだが、クラウン=4ドアセダンとなったのは比較的最近のことで、過去にはさまざまなボディタイプが用意されていたのである。
文:小鮒康一/写真:トヨタ
■ワゴンにバン、2ドアクーペだけでなく、なんとトラックもあった
現在はトヨタブランドのフラッグシップモデルとして君臨しているクラウンではあるが、過去にはステーションワゴンやバン、2ドアクーペというような幅広いバリエーションを誇っていた。それだけでなく、なんと高級車とは真逆に位置するようなピックアップトラックも存在していたのだ。
その祖となったのが初代クラウンのビジネスモデルとも言えるトヨペット マスターだ。
このマスターは、あまりに先進的なメカニズムを持つ初代クラウンが市場から敬遠されてしまったときの保険として登場したもので、本格的な独立懸架のフロントサスペンションを持っていたクラウンに対し、マスターは堅牢で実績のあるリーフリジッドアクスルを採用するなど、信頼性と耐久性のあるメカニズムを採用していた。
■予想以上に高評価だった初代クラウン
しかし蓋を開けてみれば初代クラウンは高い評価を集め、保険として存在していたマスターは早々にその役割を終えることとなる。
ただそのままマスターを消滅させてしまうのはもったいないということで、マスターをベースとしたライトバンとピックアップトラックを仕立てて、それをマスターラインとして販売したというワケなのだ。
もともと乗用車として作られたマスターだけあって、マスターラインも商用車でありながら乗用車的なルックスと堅牢なメカニズムで一定の評価を集め、クラウンがマイナーチェンジした翌年の1959年には2代目へとフルモデルチェンジを果たす。
このタイミングでメカニズム的にも多くの部分でクラウンと共有化を果たして快適性を高めると、1962年9月のクラウンフルモデルチェンジのタイミングでマスターラインも3代目へと進化。
この世代になるとクラウンとの共有化はますます高まり、日本国外仕様に至ってはクラウンの名前で販売されるほどとなっていった。
そして1967年のフルモデルチェンジのタイミングで日本仕様のピックアップトラックやライトバンも正式にクラウンシリーズの1モデルとなり、マスターラインとしての名前は消滅することとなったのだった。
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