底抜けに明るくて、底抜けに脳天気で、底抜けに楽しい! シボレー コルベット、ジープ グランドチェロキー、 キャデラックCT6をピックアアップし、そんなアメ車の魅力を今一度考えてみる「アメ車バンザイ」企画。
ナビゲーターには欧州車志向の強い自動車評論家の清水草一氏。「アメ車なんて最も興味がないんだぜ!」と吠える清水氏がアメ車と出会ったとき、どんな化学反応が起こるのか!!? その魂の声に耳を傾けてほしい!
※本稿は2019年7月のものです
文:清水 草一/撮影:平野 学
初出:『ベストカー』 2019年8月26日号
【アメ車のスポーツカーに乗る!】 シボレーコルベットこそクルマ好きの桃源郷!
俺様は根っからのヨーロッパ車かぶれ! フェラーリの崇拝者だ。逆に最も興味がないのがアメ車だぜ! アメ車のことにはまるで詳しくない! もちろんコルベットについてもあんまり詳しくないんだぜ!
ところが、今はちょっと違う。現代のフェラーリに幻滅した反動で、コルベットがもの凄くステキに見えちまったんだヨ~!
●シボレーコルベットグランスポーツ(価格:1209万8700円)
現行コルベット(C7)が発表されたのは6年も前のこと。
当時フェラーリ458イタリアに乗っていた俺様は、見た瞬間に「このデザイン、458の影響を受けている!」と親近感を覚えたが、中身は相変わらずかなり大味なアメリカンスポーツで、繊細な俺様には食い足りなかった。
ところがこの6年で、フェラーリはすっかり様変わり。V8はターボになり、甲高い快音は消えた。しまいにゃPHVまで出す始末。フェラーリがエコって意味ねーだろ! 魂の燃焼はどこ!?
逆に6年前には何も感じなかったコルベットが、今はやたらと心に刺さる! この単純明快なカッコよさ。古きよき不良だ! そして単純明快な大排気量のパワー! V8 OHVを守っている姿勢も超ステキ。
今ごろになって「オレが求めていたのはオマエだぜ!」という思いすら湧いてきた。
今回試乗したグレードは「グランスポーツ」。コルベットとしてはベーシックな6.2L、V8OHVの466psエンジンを積み、ハデなエアロで武装したモデルだ。
この上にはスーパーチャージャーを装着した658psのモンスター、Z06があるが、いやあ、パワー的にはこっちで充分!
これでもフルパワーをかけると簡単にホイールスピンが始まる気配(気配だけにしときました……)が濃厚。これ以上速かったら怖いでちゅ! もうすぐ還暦なので。
手動で脱着できるルーフを外し、ハデなレッドの内装をひけらかしつつ、オープンエアで高原を流せば、「デロデロデロ~」という伝統のOHVサウンドが猛烈に心地いい! うひ~~~~、コルベットってこんなにもよかったのか!
6年前にも思ったことだが、現代の水準からするとボディはユルいし、足もバタつくが、今となってはこのプリミティブなフィーリングに涙が出る。いつの間にか俺様は、世にあふれる「できすぎ君」なスーパースポーツに飽き飽きしていたらしい! 目を開かれる思いだぜ!
コルベットは間もなく新型に切り替わる。しかもミドシップだという! ウルトラ期待が高まるじゃないか! コルベット最高!
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