シーケンシャルシフト…..何とも言えない操作方法に苦慮していたユーザーが多いのではないだろうか。滅多に使うことは無く、今やパドルシフトが普及し需要は下降気味である。そんな押し引き型シーケンシャルシフトの現在か過去、そして未来を共に考えていきたい。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーWeb編集部
■ギアは引いて上がり押して下がる方が良くない!?
トヨタをはじめ国産メーカーの多くが、シーケンシャルシフトを採用する際に、+(ギアを上げる方)を車両の前側に配置し、-(ギアを下げる方)を車両の後ろ側に配置してきた。
この位置にプラスとマイナスがあると、クルマが動き出しシートの背もたれに押し付けられる加速時、ギアを上げようとすると、体の動きとは逆方向へ手を動かさなければならない。減速時は車両前方に向かって体にGがかかるのだが、この時シフトを動かす手は後ろに向かって引くことになる。
体が受けるGとは逆に動かさなければならないこの操作が、なんとも気持ち悪かった。一般にGTカーなどで採用されるシーケンシャルシフトは、引いてアップ、押してダウン。市販車のそれとは逆の配置になっている。
輸入車では、引いてアップ・押してダウンが結構当たり前の配置なのだが、国産車だけがなんともおかしい。国産唯一、マツダだけは全車のシーケンシャルシフトが、引いてアップ・押してダウンになっているからエライと思う。
中でもトヨタ車では、古くから「押してアップ」「引いてダウン」の操作だった。今でも、RAV4のオフロードパッケージなどでシーケンシャルシフトが採用されているが、やはりプラスとマイナスは従来までと同じ配置。走りのモデルGR86のAT車もまた、「押し+」「引き-」となっているのだ。
■シーケンシャルシフトの操作を逆にする、専用パーツまで出ていたってマジ?
一昔前、トヨタ車のシーケンシャルシフトのプラスとマイナスを逆にするパーツが存在していたのをご存じだろうか。
筆者も初代オーリスに乗っていた際に、装着してお世話になっていたパーツである。その名を「GTシフター」という。シフトの配線にカプラーオンするだけというお手軽アイテムが、TOM’S(トムス)から発売されていたのだ。
トヨタ車に造詣の深いトムスも、「この配置は逆だよね」と思っていたということか。対応車種は200系のクラウンやランドクルーザー、エスティマやアイシス、レクサスの初代GS・IS・RXなどだ。残念ながら現行車には対応しておらず、既に販売は終了している。
■GRヤリスのシフトがイイ!是非とも他車種への展開を希望します!
シーケンシャルシフトのプラスとマイナス問題は、もうどうにもならないのかと思っていたら、先ごろ登場したGRヤリスが、トヨタのシーケンシャルシフトを大きく変えようとしていた。
なんと、GRヤリスのAT車に装着された「GAZOO Racing Direct Automatic Transmission(GR-DAT)」では、押し操作でシフトダウン(減速)、引き操作でシフトアップ(加速)になっているではありませんか。
商品説明でも、「車両挙動に合わせたシフトダウン&アップができる向きにすることで、レーシングカーのシーケンシャルトランスミッションのような操作を可能にしました」と書かれていた。
この流れが継続していき、国産車のシーケンシャルシフトは、押してダウン・引いてアップにぜひとも統一してほしい。「パドルシフトがあるんだから要らないでしょ?」なんて言わずに。やっぱりギアは、シフトレバーで操作したいんです。
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