現在、高速道路を走るほとんどのクルマに搭載されているであろうETCは、料金の支払い以外にも案外知られていないお得な使い方がある。対応する車載器を取り付けているという人必見の、ETCの賢い利用方法とは?
文/井澤利昭、写真/国土交通省、一般財団法人ITSサービス高度化機構、写真AC
【画像ギャラリー】ドライブしたくなる!! 楽しくなる!!! ETC2.0活用術(5枚)画像ギャラリー■高速道路を利用する9割以上のクルマに搭載されているETC
かつては当たり前であった料金所で一時停止の必要がなく、ノンストップで高速への進入や出口での料金の支払いができるETC。
ETCとは「Electronic Toll Collection System」の略称で、無線通信技術を使って、自動的に有料道路の料金徴収を可能にしたシステムだ。
国内では平成13年(2001年)から本格的な運用が始まったETCは、その利便性の高さから現在では高速道路を利用するクルマのほとんどに搭載されており、国土交通省が公表しているETC利用率は、令和6年(2024年)3月の段階で実に94.7%にも及んでいる。
高速料金の支払いが便利になる点や、ETC搭載車のみに適用される各種割引といったドライバー側のメリットがあるのはもちろん、料金所付近での渋滞の減少や、ストップ&ゴーでの発進・加速が緩和されることでの排ガスや騒音の軽減、CO2量の削減など、料金所周辺の環境改善にもETCは役立っているという。
ここ最近では、ETC搭載車のみが乗り降りすることができるスマートインターチェンジも増えはじめており、ビジネスや週末のロングドライブなどで日常的に高速道路を利用するドライバーであれば、ETCはもはや必須の装備といってもいいだろう。
■役立つ情報の取得やさまざまなサービスを受けられる「ETC2.0」
運用スタートから実に20年以上が経過しているETCだが、平成28年(2016年)には、料金決済に加えて、さまざまなサービスに対応できる次世代型の「ETC2.0」が登場している。
大容量のデータを高速でやり取りすることができる「DSRC」という双方向通信技術が用いられる「ETC2.0」は、従来型のVICSと比較してより広範囲(最大で1000km)の交通情報を受信することができるのがその特徴。
高速道路上やサービスエリアに設置されるITSスポットを介して通信を行うことで、渋滞や事故発生の情報、それに伴う迂回路の取得、気象の変化による災害などの情報がより素早く得やすくなっている。
また圏央道や新湘南バイパス、東海環状自動車道といった一部の道路では「ETC2.0」に対応した車載器を搭載するクルマのみを対象により優遇された割引料金での通行ができるなど、経済的なメリットも大きい。
さらに一定の条件を満たすことで、高速道路から一度降りてインター近くの施設を利用し、再び高速道路に進入した場合でも、本来必要となる追加料金が発生しないというお得なサービスも始まっており、今、注目を集めている。
■お得な「賢い料金」を利用し、旅の途中の「道の駅」でひと休み
事故や災害などによる一部区間通行止めといった例外的なケースを除き、目的地途中のインターで高速道路を降りて再び乗り直した場合、直接目的地に向かった場合と比較して、料金は割高になってしまう。
これは多くの高速道路が、より長い距離を降りずに走り続けたほうがお得になる「長距離逓減(ていげん)制」を採用しているからだ。
ところが「ETC2.0」を利用して高速道路に進入したクルマに限り、前述の通り一定の条件を満たすことで、再進入による追加料金分がお得になるサービスが用意されている。
それが「道の駅」を立ち寄り先とするために高速道路からの一時退出を可能とした「”賢い料金”社会実験」だ。
「ETC2.0」を搭載したクルマが指定された「道の駅」に必ず立ち寄ることを条件に、最寄りのスマートインターチェンジからの退出後、2時間以内に同じスマートインターチェンジから順方向へと再入場すれば、本来必要とされる追加料金分が割引となるしくみ。
これは高速道路の休憩施設の不足解消に向けた社会実験として、休憩可能なサービスエリアやパーキングエリアが25km以上離れている空白地域を対象としたもので、インターチェンジから2km以内にある道の駅を休憩場所として利用してもらうのがその狙いだ。
首都圏では千葉県の「木更津うまくたの里」や「保田小学校」、群馬県の「玉村宿」、茨城県の「ごか」などがその対象となっており、それらを含めた全国で26カ所の道の駅で同様の試みが行われている。
今後も対象となる道の駅は増える予定で、すでに3カ所が追加されることは決定済み。利用可能なインターチェンジや道の駅は、ETCの総合情報ポータルサイトで確認することができる。
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